「Yuki」 (ページ30)

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だめだ、

何選んでも似合ってしまう。

「どれでもいいです」

mr「おい」

「いや本当に！着て貰ったやつ全部似合うんだもん」

mr「じゃあ、どれが一番好きだった？」

「好きだったのは、2つ目のセットアップかなあ」

mr「じゃあこれにする」

「そんな簡単に決めて良いの？」

mr「だって、Aさんが好きなやつなんでしょ？じゃあそれにするでしょ」

サラッと言うじゃん。
なんか、調子狂う。

「んー、じゃあそれで…」

mr「支払いしてくるから店内見てて待ってて」

「分かった、待ってるね」

なんだかなあ。

そんな気がないことくらい分かるのに、
蓮くんの言葉に一回一回ときめくの辞められないかなあ。

そんなことを考えつつも、

女性モノも置かれているこのお店で目が惹かれるものがあって、私はそのアクセサリーを眺めながら蓮くんを待つ。

可愛いな、このピアス。

控えめに開けられた私の耳には今何も付けられてはいない。

お給料も入ってるから買おうかな、

なんて思っていると女性の店員さんに話しかけられる。

・「お気に召しました？」

笑顔で言われ、
そんなにじっくり見てたのか、なんて恥ずかしくもなり。

「これすごく可愛いですね」

・「あ、それ可愛いですよね。実はそれ、店長が作った一点ものなんです」

「え！？凄い…。買おうかなあ」

・「ふふ、ゆっくり悩んでくださって大丈夫ですよ」

蓮くんがこのお店が好きな理由が分かったかもしれない。

無理な押し売りが無いんだ。

入ってすぐに店員さんがくっついてくるお店ではなくてゆっくり商品を見させてくれる。

良い頃合いで店員さんが加入してくるから、
居心地が凄くいい。

別のものも見ようと思ってまた店内をうろうろする。

このお店の女性モノも個人的に好きなので私も今度買わせて頂きます。

あのピアスは、今日は辞めておこう。

次来た時にあったら運命。その時に買おう。

なんて思っていると、蓮くんお支払い終了。