「Yuki」 (ページ39)

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ちりんと聴き慣れたベルの音。

いつもは何も思わなくても、
今日はその音が少しだけだるさを生む。

今日も頑張らないと。

そう思いつつも、やっぱり少し痛むお腹。

大学の疲れが精神的にきてるのもあって
何も上手くいかなかった今日にイライラする。

「おはようございます」

f「おー、おはよ」

厨房に居るふっかさんに声をかけて
タイムカードを押して着替える。

f「Aちゃーん？」

「はいー？」

着替えてる最中にドア越しで声を掛けてくるふっかさんに返事をすると、

f「康二からある程度は聞いてるし、今日は出来るだけ座っときなね。椅子置いてっから」

「えぇ、ありがとうございます」

イライラしていた気持ち、
沈んでいた心に、

みんなの優しさがじわじわと沁みる。

あー、本当、良い人たちしかいないなあ。

周りに恵まれてるってこういうことなんだな。

着替え終えて、ガチャっとドアを開けると

多分買い出しに行っていたであろう、既に制服を着た翔太くんがテーブルセッティングをしていた。

「翔太くん、やるよ？」

w「座っとけ！」

「いやでもバイトの仕事…」

w「セッティングにバイトも社員もねえの。ほら、良いから。お客さんの対応だけちょっと頑張って」

だめだ、
こんなに甘やかされると…

こんな優しさに慣れちゃダメだ。

r「おはよう！」

頭を抱える私に元気よく挨拶してきたラウちゃん。

その笑顔を見てホッとする。

うん、彼の笑顔は精神安定剤に良いかもしれない。