悪魔との契約 ページ18
***
「だろうな。私もそのイメージだった。”その程度のイメージで代償を与えた“ 。
だが、もしもラッセル・バロウズにとっての『市長としての人生の破滅』が、もっと違う、もっと大きななにかを指しているとしたら？」
「い、いったいどういうことですの……！？ よくわかりませんわ」
ノエルはしびれを切らし、答えを求める。小難しい話が続いていたから無理もないだろう。だが、カロンはしれっと返した。
「ふっ……、私にもわからん。私は、ラッセルが抱えるものの多くを…… まだ知らない。知らないままヤツと歩み、決別した。
だが、それなら頭を使って想像するしかあるまい。悪魔の契約や代償は、具体的であればあるほど鋭利に刺さるものであると、スピカが言っていた」
ある人は、魔人に対抗するための力を求め、代償に力でつけたものと同じ怪我を。
またある人は、己が夢中になって取り組めるものを求め、代償に人生の時間と少しの声を。
少なくとも、Aが今まで見てきた魔人たちは、確かに皆、具体的な契約内容と代償を持っていた。
「代償がヤツに刺さらなかったということは…… 代償が的外れであいまいだったと考えるほかにない。
──ラプラスという街には、私たちが知らない、大きな秘密が眠っている。それを暴くことこそが、ラプラス市長にとっての真の破滅を浮き彫りにする。……私は、そう考えた」
「……秘密……」
その言葉に、ノエルは生唾を飲み込んだ。オスカーは相変わらず、真面目な表情で黙ってカロンの話を聞いていた。カロンは、さらに続ける。
「突拍子もない話だと言われればそれまでだが、私はラプラスという街を知る必要があると思っている」
カロンは目を閉じ、ここにいないラッセル・バロウズに問う。
──なぜラッセルは、父を殺してまで市長になろうとした？ たかが地方都市の長のために、そこまでする理由は？
──なぜラプラスを支配し、蹂躙することにこだわる？
─そもそもなぜ、ラプラスという田舎街の事件に対して魔人まで含めた隊長格が三人も送られてくる？
──ヤツは…… あの街で、なにを抱えて生きている？
「私たちは、倒すべき相手の素性を…… あまりに知らない。
知らないから、弱点がわからない。力で勝てない。代償が刺さらない。ならば…… 知ればいい。
ヤツのすべてを丸裸にして、ヤツにとっての破滅とはなにかを知るのだ」
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紅ゆずりは(プロフ) - Cyanさん» はじめまして。いつも読んでいただいて&評価ありがとうございます(*^^*)頑張ります♪ (2021年8月22日 22時) (
レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
Cyan - いつも楽しみながら読ませて貰ってます！評価押そうと思ったところ、誤タップで星9になってしまいました、すみません……断然星10の作品なので、これからも応援しています！ (2021年8月20日 22時) (レス) id: e581c2c6f4 (このIDを非表示/違反報告)
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