大悪魔 ページ12
ノエルは微笑んだ。年頃の少女らしい、可愛らしい笑みだ。カロンは彼女に近寄ると、頭に手を置いた。
「お前が決めたことなら、私は反対しない。A、だったか。よろしく頼む」
「よろしくお願いします、カロンさん」
「……よし。そうと決まったら、今はここから動こう。長居するのはよくない。──オスカーほどの魔人がやり過ごせないとは、ヤツらは追っ手としては最悪という事だ」
「すまない…… お前たちの足を引っ張ってしまったな」
オスカーは顔を伏せた。その血色は悪く、やはり早くどこかで休ませなければ、なんて思う。
「なにを言ってるんだ、お前は。お前が30日もの間、耐えてくれたからこそ…… いま私たちが、ここにいるのだ。ホレ、行くぞ」
「ああ」
その言葉に反応するように、オスカーは前を向いた。彼の顔色はまだまだ悪いが、少しだけ、頬が紅潮しているように見えた。
カロンが扉に手をかけ、思い切り開くと、冷たい風が勢いよく舞い込んできた。思わず目を細め、オスカーの肩をよりしっかりと支えた。
二人で雪を踏みしめると、からかうような声がした。
「無事、回収できたようじゃの」
「……スピカ！」
青白い肌に鋭い角を持つ、幼い見た目の大悪魔が、そこに立っていた。
「ご苦労なのじゃ。これでおヌシらは心置きなくここを脱出できる。この先を、川を目指して下っていけばふもとの町の近くに出られる。歩いて一時間もかからないくらいじゃな」
ご丁寧に、現在位置の事まで説明している。何がしたいのだろうか。
「……そんな近くまで、OCTが踏み入っていたなんて。あの拠点も、もう捨てなくては……」
「……リベリオはいないのか」
オスカーは回りを確認し、彼女に問う。
「いない。今はラプラスの検問のほうに帰ってる。ひっひっひ…… のんきなヤツめ。妾を前にして、戦わずして魔人を懐柔しようなど…… こうして全員逃がして、台無しにしてやるのじゃ！」
「……いいのかしら。黙って勝手にいなくなるなんて」
ノエルの言葉に、スピカは眉をひそめた。彼女を見つめ、普段の軽々しさとは真反対に、話した。
「……ノエル。リベリオになにを吹き込まれたか知らんが、その身で選べる運命はひとつ。せいぜい、 “ 中途半端 ” な選択はしないことじゃな」
「……！」
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紅ゆずりは(プロフ) - Cyanさん» はじめまして。いつも読んでいただいて&評価ありがとうございます(*^^*)頑張ります♪ (2021年8月22日 22時) (
レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
Cyan - いつも楽しみながら読ませて貰ってます！評価押そうと思ったところ、誤タップで星9になってしまいました、すみません……断然星10の作品なので、これからも応援しています！ (2021年8月20日 22時) (レス) id: e581c2c6f4 (このIDを非表示/違反報告)
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