【被虐のノエル】どんなあなたでも変わらない≪オスカー・ドレッセル≫ (ページ45)

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会いたくないページ45

「(それにしても、まずどこに行こうかなぁ)」

早足でスラム街を抜けると、なんとなくでスーパーマーケットに向かった。

オスカーを見つけ、テロリストに加わる！なんて意気込んだのはいいが、彼らがどこにいるのかなんて見当もつかない。

スーパーで、長持ちしそうな食材や、必要な雑貨をカゴに入れていく。バックパックにはまだ余裕があるし、こう見えても力はある方なので、ある程度は大丈夫だ。

会計を済ませ店を出て、雪をさくさくと踏みしめ、裏にある駐車場に向かった。

駐車場の端には、人通りの少ない道がある。あそこは、雪山に通じている。きっと彼らは、人の少ない所にいるだろう。

だが、珍しく車が止まっていた。大きな軍用の車だった。物騒ね、と、呑気なことしか思えなかった。

その車から、男がひとり出てきた。額に傷のある、橙色の髪の男。

リベリオ・ストラーダだった。

姿を見て、彼だと認識した瞬間、私の体はこわばってしまった。

脚ががくがくと震え、焦りから、呼吸が荒くなる。白い息が、何度も現れて、何度も消えた。

何故ここにいるの。

リベリオは私を見ると、ゆっくり、こちらに歩いてきた。

眉をひそめ、私に向かって言った。

「ニコレッタ・カルヴィ…… だな」

──彼は、『A』ではなく、『ニコレッタ』と言った。

何故、私の本名を、呼んだのだろうか。

だが、それを問う前に、リベリオは顔に布を押し付けてきた。

「────！！」

付着していた薬品を吸い込んでしまったため、私の体は力を無くし、視界は暗転した。