危機�� ページ42
「(一昨日は怖かったな)」
突然、てんちょーの店を訪れたドラットン・ベルクマンは、何故か私を探していた。OCTは、
ぼんやりと思いながら、薬を混ぜる。より効果のあるキズぐすりを作るため、調合に調合を重ねる。
「(もう、OCTの人が来なければいいな。出来れば関わりたくないけど、……テロリストになったら、関わらない手は無いだろうなぁ)」
ため息をつきつつ、手際よく作業を進める。
私は、あと数日で、ここを出ていく予定だ。自分で持ち運ぶ分のキズぐすりは充分確保してあるし、特に問題はない。ただ、彼らのことが気がかりだった。
──本当に、大きな怪我をしていなければいいけれど。
そんなことを思っていたら、てんちょーが部屋に駆け込んできた。
「？ そんなに焦って、どうし──」
「A！ 早く隠れるのだ！！ また軍のやつらが来たのだ！」
それを聞くなり、私は、今度は机の下ではなく、調薬室を飛び出し、薬剤保管庫に入った。さらに、念のため、中から鍵をかける。てんちょーは、すぐさま店に出ていった。
誰が来たのか気になったのと、姿を把握しておきたかったので、静かにマジックミラーの前に立ち、どうにか、訪ねてきた者の顔を見た。二人いた。
一人は、額に傷のある、橙色の髪の若い男。
もう一人は、深くフードを被った、小柄な人物だ。だが、てんちょーの姿を見るなり、フードを外した。
それは、幼女型の大悪魔だった。赤い角と瞳に青白い肌をしており、額の大きな印が目立つ。さらに、両側に大きくスリットの入った服を着ていた。
姿を認識できたので、しゃがみ、おとなしく二人が去るのを待つことにした。
「いらっしゃいませなのだ！ 何を買っていくのだ？」
「リベリオ・ストラーダだ。OCTの少尉をやってる。お前、この女を見なかったか」
やけにはっきり声が聞こえる。調薬室のドアが開いてるからだろうか。リベリオは、何かの写真をてんちょーに見せている。恐らく、この間ドラットンが持っていたのと同じものだろう。
「その
「ヒヒヒッ、来たのはあのヒゲじゃろう？ やはり、あやつも来ておったか」
大悪魔は楽しそうに笑う。リベリオは眉をひそめつつ、つかつかと調薬室に入っていった。
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