地下室の終焉 ページ33
「そうなんですか」
「
「そんな！！ 私は
「そうかもしれないけどな、仕方無いんだよ」
今さらだけど、この同僚はいい人だ。彼を騙すのは心苦しいが、オスカーのためだ。もう、背に腹は代えられない。
────急ごう。悪魔薬学を、完璧に学び通さなければ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「(……疲れたな)」
今の心情は、この一言に限る。
事情聴取を終え、どうにか自分の部屋に戻れたが、本当に疲れた。誰かを騙すのは心苦しいし、申し訳ない。だけど、何にも代えられない。
彼らは、私がオスカーに脅されていたという嘘を納得してくれたようだった。聴取を終えてから二日ほどで謹慎も解け、今はお師匠の元に向かう。
「お師匠、こんにちは」
あと僅かだ。ほんの僅かで────
「ゴホッ！！！」
突然、飛び散る血飛沫。頬に、お師匠の吐血が一滴飛んできた。
「お師匠！！？」
すぐに駆け寄り、介抱する。息がかなり荒い。辺りを見渡し、たまたまあった近くのソファーにお師匠を横たわらせた。その体は痩せ細っていて、軽かった。
「……
「カルロ、ってもしかして」
「コイツノ名ダヨ」
グーフォは、お師匠を指差した。初めて会ったとき、「名乗る名はない」なんて言っていたけれど、グーフォには名乗っていたようだ。
「オマエニハ話シテナカッタナ。モウ分カッテイルダロウガ、コイツノ代償ハ──『寿命ト発音』ナンダヨ」
「寿命と発音？ 一体、どれだけの……」
「寿命ハ五十年ブンダ。アイツハモトモト八十歳マデイキル予定ダッタカラナ、寿命ヲ犠牲ニ悪魔薬学ノ知識ヲ得タンダヨ。発音ハ、ソレダケデハ足リナカッタカラトッタニスギナイ」
「……そうですか」
ひゅうひゅう、ぜいぜいと、荒い息をするお師匠。
そろそろだとは思っていた。ずっと、体調が芳しくなかったようだったから。けれど、まさか今日だとは思わなかった。
「お師匠……」
「……コイツト出会ッテ、今日デ五年目カ」
悪魔・グーフォは、Aの後ろでぽつりと呟いた。
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