ラプラス警察 ページ32
カジノ・ミスティの屋上。
ラプラス警察の管理官であるジーノ・ロレンツィは、爆弾魔フーゴ・ドレッセルを、ぎりぎりまで追い詰めていた。
あと一撃で彼を殺す。
だが…… 刹那、黒い服をまとう男にそれを弾かれた。
「アンタ、何者よ……!!」
「……お前は、いったい……!?」
「オレは…… ある日、事故で家族が吹っ飛んで……
そのすべてを一瞬でひっくり返す力に魅入られちまった、バカな弟を救うためにここまで来た──お前の兄貴だよ」
「……あ、兄貴……」
「今度こそ、間に合った」
***
「今、下でノエルが大勝負をしている。あいつが勝つまで、この場を投げるわけにはいかねぇ」
「……わかった。それならなおのこと、負けるわけにはいかないな。オレたちを導いてくれた、被虐の魔女のためにも……!」
────冷たくつき放そうとも、オレの事を想い動いてくれた、Aのためにも。
オスカー・ドレッセルはその想いを胸に、ジーノ・ロレンツィにサーベルを向けた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
目を覚ますと、消毒液臭い場所にいた。
「(……ここは?)」
私は、さっき、オスカーの病室で────
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『……、オ、オスカーさん……?』
『カルヴィ。オレはこれからお前を気絶させる。だから、事情聴取されたとき、実はずっと起きていたオレがお前を脅して、色々持ってこさせたと伝えろ』
『そんな! 私が勝手にしたことなのに……』
『……お前は、まだ悪魔薬学を学びきってないんだろう。今オレと共犯だとバレてしまうと良くない。だから上手く誤魔化せ』
『………………………………』
『そんな暗い顔をするな。いつか────』
『いつか?』
『……いや、それは分からないな。何でもない』
****************
「(……そうだ。それで気絶させられて)」
今、別の病室で寝ていたのだろう。
「起きたか、カルヴィさん」
横にいたのは、例の同僚だった。何となく、ついさっき来たばかりなんだろうなと思った。表情が、固い。
「こんにちは。……あの、今何が……」
「……昨日の夜、ミスティが大炎上したんだ。支配人のコフィン・ネリスとジーノ管理官は行方不明になり、テロリストどもにも逃げられたらしい。
ラプラス警察は非難轟々。お陰で今度、国から部隊が派遣されるらしいぞ。バロウズ市長はごねたらしいけどな。それに、市の警備はかなり強化されている」
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