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爆弾魔 ページ20

そうしている内に、私が考えたのはひとつだった。

────どうしたら、私の望む幸せが得られるのか。

私に対してではないとはいえ、あんな態度をとった隊長。驚いたし、悲しいが、やはり嫌いにはなれなかった。

ああ、どうしてこんなにも、隊長(オスカーさん)が大事なんだろう。いつのまにか、彼の事を好きでたまらなくなっている。

彼は私なんか見ないで、弟しか見てないというのに。

────でも、もうこの思いを変えられないのだから、仕方ないでしょう。

涙を手の甲で擦り取り、きっと空を睨んだ。

「(……頑張ろう。今はとにかく、悪魔薬学をしっかりと身につけよう)」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翌日。私は一人で、ラプラス第二刑務所を訪れていた。

来たのはもちろん、爆弾魔(ボマー)の容態を確認するためだ。隊長や管理官がいないと、もし(ボマー)が暴れたとき多少不安だが、昨日大人しかったので大丈夫だろう。

淡々と歩き、階段を降り、特別独房の前に立つ。爆弾魔(ボマー)は、静かだった。

一瞬、まさか死んだのかと思い肝を冷やしたが……

ひゅう、ひゅう、ぜい、ぜい。

妙な音が聞こえる。────爆弾魔(ボマー)の呼吸する音だろうか。彼は恐らく、 “ 代償 ” のせいで呼吸器が悪い。

「こんにちは」

独房に入り、聞こえているかも分からない挨拶をする。包帯と薬を取りだし、並べる。

眠っている方が都合がいいので、まずは軟膏を塗り直し、ささっと包帯を巻き直す。……それにしても、爆弾魔(ボマー)の身体は火傷だらけだが、顔立ちは整っている。

そんなことを考えながら、飲み薬の準備をする。がたがたと音を立ててたからか、爆弾魔(ボマー)は小さく呻いた。目を開け、私の方を見ていた。

「……よぉ。お前、昨日の女か」

「こんにちは」

淡々と返事をし、薬を持っていく。飲むよう促すと、素直に飲み込んだ。苦いからか、顔をしかめていたけれど。

「まずっ」

「……」

「……」

沈黙。だけど、お互い別に話すこともないので、さっさと荷物をまとめる。そのうち隊長も訪れるかもしれないし、帰ろうとした。が……

「なぁ」

何故か呼び止められた。少し悩んだが、振り向く。

「何でしょう」

「お前、……もしかして兄貴の女か?」

「……は?」

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作者名:紅ゆずりは | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年9月26日 22時

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