検索窓
今日:5 hit、昨日:25 hit、合計:13,891 hit

爆弾魔 ページ18

隊長が運転するパトカーに揺られること数時間。

私はぼんやりと窓の外を眺めていただけだったが、気づけば、郊外にあるラプラス第二刑務所に着いていた。検問を通り、駐車場で降りる。

ここは、壁にもコンクリートにも所々銃弾の跡があるのが見えた。……噂で聞いたことがある。

ラプラス第二刑務所──通称・ “ 帰らずの檻 ” は、ヤバイ所だと。

看守らが平然と囚人を虐待しているだとか、地下深くにある監獄には、魔人を収容するための特別独房があるとか。

だから、爆弾魔(ボマー)はここにいるのだろう。ちらっと隊長の顔を見ると、眉間に皺を寄せ、何かを睨み付けているような隊長の表情が、それを物語っている。

お師匠は深くフードをかぶり、なるべく姿が見えないように歩く。ちなみに、グーフォは来ていない。

私もなるべく顔を隠しつつ、後に続いた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カン、カンと、階段を降りる音が響き渡る。ここは地下だ。爆弾魔(ボマー)の元に向かう私たちは、一言も喋らない。

水滴が落ちるせいで湿っぽく、カビ臭いここは、不潔だ。いるだけで気分が良くなくなってしまうだろう。だけど、淡々と歩く。

多少曲がりくねった道を一番端まで着くと、独房の中に確かにいた。緑色の服を纏う爆弾魔(ボマー)は、倒れており、息を荒くしていた。隊長の顔が、悲痛に歪む。

お師匠はちらりと私を見ると、共に独房の中に入るよう促した。お師匠の後ろにつくが、先に入ったのは隊長だった。管理官は、扉の前で待機している。

お師匠は爆弾魔(ボマー)に近づくと、しゃがみこみ、まず胴体を診始めた。私も倣い、そばで診る。

……骨が多く折れているらしい。話は聞いていたが、実際に目の当たりにするとかなり酷い有り様だ。私は、懐からいくつかの薬や包帯を取り出す。

「じゃア、始めようか。僕の指示通リにやっテくれ」

「はい」

指示通り、まず傷口を消毒をし、裂傷には軟膏を塗り、包帯を巻く。骨が折れている所は固定し、動きにくくする。

念のため隊長もいるのだが、暴れずにおとなしく治療を受けていた。暴れる元気もないのだろうか。

身体の治療を一通り終えると、今度は粉薬を手に取る。爆弾魔(ボマー)の呼吸が荒いので、これで一時的にでも症状を抑えてやるためだ。

爆弾魔→←爆弾魔



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅ゆずりは | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年9月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。