quartetto. 6

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今にも消え入りそうな声で
恐る恐る伝えると
ベッドから起き上がったのか
電話の向こうから
ガサガサと音が聞こえる












「迷惑なわけないじゃん
俺はすげー嬉しいけど」


『…でも…直己さんが…』


「会えたらもっと頑張ろうって思えるかもよ？」










目が覚めたのか
少しイタズラな声が聞こえて
ほっと胸が温かくなる感じがした












『…行こうかな』












行くとしても
今から有給を取って大型連休にするのなら
どんなに早くても2ヶ月先になる


もはや隆二の半年間の修行も
折り返し地点になってしまっているけれど













「うん、待ってる
Aに会いたい
あ、来たら色々案内してあげるよ
わーなんか急に楽しみ出来たなぁ」














電話の向こうで
景色が綺麗な場所や
美味しいお店を色々話してくれる
隆二のその声を聞くと


あれだけ言うのが怖いと思っていたのに
いざ言ってみると
途端に楽しみに変わってしまう












『私もまたイタリア語勉強しなきゃ』


「大丈夫だよ、俺がいるもん」


『いやー絶対通じないでしょ？』


「うん、だいたいジェスチャーで分かってもらってる」











あの大きな体で
身振り手振り一生懸命伝えようとしている隆二を想像すると


そんな姿すら早く見たくて堪らなくなった

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