quartetto. 6

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「大丈夫？」


『…なにが？』











何がと聞いてもアキラさんは何も言わないけれど
多分さっきの会話で私が気を悪くした事に
気付いているんだと思う















「なんで会いに行かないの？」


『…隆二の邪魔したくないから』


「…でもそれでAちゃんはこんなに寂しがってるのに？
行けるなら素直に行けばいいじゃん」
















アキラさんは急に私と隆二のことを
応援する気にでもなったのだろうか








あのアキラさんから
まさかそんな風に言われるとは思ってもみなくて
内心驚いてしまうけど







寂しいから会いに行くという程
簡単なものでもない





直己さんに言われたように
寂しさをバネにする隆二がいるなら
私がそれを乱してはいけないんだから














『…色々あるんです
それに半年くらい平気です』


「我慢してあの子に取られてもいいの？」











八つ当たりなのは分かってるけど

なんだか無性にアキラさんに腹が立った













あの子に取られていいわけないじゃないか














私だって本当は寂しくて寂しくて
1日だけでもいいから会いたいと思ってる

声だけなんかじゃ
この寂しさは埋められない

今すぐにでも隆二のところへ飛んでいきたい


でもそうする事が
私のためにはなっても
隆二のためにはならないから


だからこうして毎日必死に
寂しさを押し殺して頑張ってるのに











アキラさんは
ただ私を心配してくれただけなのに

気付いたら
泣きながらアキラさんを責め立てていた











『…ごめんなさい』


「…大丈夫
素直なAちゃんの方が可愛いよ」











怒りや悔しさ
色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざり合って
堪えたいのに
涙は一向に止まってくれない







嗚咽を堪えるように
唇を噛みしめる私を
アキラさんはギュッと抱きしめてくれた











『…大丈夫ですから』










いくら今ダメージをくらって
弱っているとしても
アキラさんの胸の中に収まるのは
ルール違反だ




必死にその大きな胸の中から離れようとしても
アキラさんは更に強く力を込めて
私を離そうとしない












『…離して』


「泣く時くらいいいじゃん別に
今は優しく抱きしめてくれる隆二はいないんだよ？」

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