quartetto. 6

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怒っている臣くんと
浮かれているアキラさんにしか目がいかなくて
カウンターに直己さんが座っている事に
今気付いた
















『直己さん、さっきはありがとうございました』


「いーえ、こちらこそ」


『…直己さんとここで並んで座るの
初めてですね』


「ホントだねぇ
今日はアキラさんの初日だからさ、
見届けようと思って」
















まだ空いている時間だったので
椅子を１つ空けて
直己さんの横に座り、

臣くんが勝手に注いでくれたビールで
直己さんと乾杯をした


















「寝てたってどーゆー事
俺来いって言ったんだからさぁ
普通すぐ来るでしょ？」


『だってすぐだとお店まだ開いてないし…』


「ゆーっくり歩けば良かったじゃん」

















歩くスピードまで注文を付けてくるとは…







唖然としていると
直己さんもさすがに笑いが堪え切れなくなっている

















「ゆーっくり歩いて来いって
どんなワガママだよ、それ」


「だってさぁ、俺待ってたのに」


「イイじゃん、来てくれたんだから」

















直己さんがいなくて
私だけならもしかしたら
こんな理不尽な怒り方をする臣くんにすら
『ごめんなさい』と謝っていたかも知れない














『ホントですよねー？
なんか急に口うるさくなっちゃって』
















直己さんという強い味方が付いた気分で
思わず軽口を叩くと
鋭い目で睨まれて震え上がった

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