quartetto. 5

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臣くんのこの親切心はきっと
私を思って、というよりは
アキラさんに取られたくない
という気持ちなんだろうけど




どちらにしても
その心遣いが嬉しくて



1番大切な隆二はいないけど
ここに来る事がまた楽しみになった











たまに
ドアを開けると
アキラさんがいる日もあったけど



隣に女性が座っていても
気にならなくなったし

アキラさんの問いかけに
意地悪な返事をする事もなくなった








それを見て隆二は
穏やかな顔をしていてくれる










でも今だに１つだけ
ズキンと心が痛くなる時がある











私と隆二が
仲良さげに話していると


ふと
アキラさんの表情が
とても寂しそうで
儚げに見えてしまう








悔しいとか、
そんな気持ちじゃなくて
どこか諦めたような
光を失った目






いつもはそんな風に感じないのに
たまに見せるこの表情が
いつも私の胸をチクリと刺激する











でもそれはきっと
人間としての欲が出ているんだろうと
そう思っていた







自分はそれには応えられないけれど
自分を好きだと言ってくれた人には
いつまでも
好きだと思っていて欲しい











ただの我儘で自分勝手な感情











その人が自分から興味がなくなった時
どこか寂しさを感じてしまう












きっとこんなの
誰でも経験がある感情で



そのうちにそんな風に感じた事すら
忘れてしまう程
その人へ微かに持っていた
ほんの少しの興味すら
いつのまにか薄らいでいく











私のアキラさんに対する興味なんて
その程度のものなんだ











でもどうしても
違和感を覚えてしまう











心の中で無意識に何度も何度もそう言い聞かせている

自分自身に

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