quartetto. 5

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でもそう感じていたのは
私だけで

幼馴染という存在がいなくても
それはそれでまた違う人生があって







まぁそんなの当たり前だけど












そこには私がいない









それがとてつもなく悲しいと思った












「もしもの話して泣くの
お前くらいだよ」











そう言って抱きしめてくれる温もりが
いつもより優しく感じる


隆二の胸に思いっきり顔を埋めて
安心感が全身に行き渡るように
大きく息を吸い込んだ











もし私の人生そのものに
最初から隆二がいなかったら





これから先の人生に
隆二がいなかったら











『無理ー…』


「はいはい、
いなくならないから
もう考えるのやめなさい」













なんと言葉で表せば良いのか
分からない程
とてつもなく大きな恐怖と
隆二がいないこの先の人生なんて
楽しみも彩りも
何もない気がして




「無理」
と表現するだけで精一杯だった











それを見て隆二は満足そうに
私を抱きしめてくれる












「凄い好きでしょ」


『自分で言わないで』


「なんで、
さっき大声で叫んでたじゃん」


『あれは勢いだもん』











軽口を叩く関係なのは
もうずっとずっと前からだから
これが無いとなんだか調子が狂う




それに加えて今は
抱きしめ合って
お互いを大切だと言い合える関係










はじめはくすぐったくて堪らなかったけど
愛しくて堪らないこの気持ちを
抑えられなくて
隆二の頬を包んでキスをすると


甘い溜息と一緒に
また隆二がキスをしてくれる











隆二の存在が特別なものに変わった今は
ここからはもう抜け出せない程
その愛情に溺れてるんだと気付いた

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