quartetto. 5

・ ページ14

・









こういう関係になる前は
隆二はどちらかというと
甘え上手なタイプで

得意のふにゃんとした笑顔で
近付いてくる時は
だいたい私に何かをお願いする時




だからずっと小さい頃から
普段は私の方が
しっかりしなきゃと思っていた










でも最近
変なところで
男気を出したがるというか、
私をリードしようとする












「こっちの店にしようよ」


『えーこっちの方が美味しそうだよ』


「そこすげー並ぶって書いてんじゃん
今日の天気だと
その格好で外並ぶの寒いよ？」


『大丈夫だよ』


「風邪引くー、ダメー」


『バカ』


「せめてケチとかにしてくんない？」


『行くまでバカって言い続けるよ？』


「もー…」










隆二は隆二なりに
わたしの事を守るべき存在だと
思ってくれて


過保護かという程
些細な事も心配して
全力で守ろうとしてくれる



大事に思うからこそなんだけど
たまにやり方が不器用で
それが堪らなく可愛いと感じる












でも
今まで付き合ってた子にも
こんな風に接していたのかなと思うと


あの子の頭に手を乗せた隆二を見た時の様に
胸の中がモヤモヤした











今までそんな事考えた事もなかった









恋愛と隆二の存在は別物だったから




隆二がどんな人と付き合おうと
私との関係が変わる事はなかったから

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す