quartetto.

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着いたお店はビーチのすぐそばにあって


風も強過ぎなくて気持ち良かったので
テラス席に座って海を眺めながら食べる事にした








「うわービール飲みてー」


『飲めば？』


「えっ帰り運転してくれんの？」


『たまにはいいよ』









サングラスをしたまま少しだけ吹く風に髪をなびかせながら隆二は嬉しそうにビールを飲む









運転はそこまで得意とはいえないけれど
隆二の家の近所ならそのまま自分の家に帰るだろうし、その程度の距離ならどうって事ない



この間会社まで送ってもらったお礼も込めて今日くらいは、と思いながらメニューを開いた









『このパスタ美味しそう』


「えーそれ俺が食いたいからAこっちにして
ちょっと食わしてやるからさ」









別に同じのでもいいんじゃないかと思ったけれど
どこのお店に行っても2人違うものを頼んでシェアする事が多かったので、
それ以上は何も思わず隆二に言われた通りに注文をした









隆二の前に置かれたのはトマトベースのパスタ

私の前に置かれたのはクリームソースのニョッキ









いつも取り分けてくれるのは隆二だけど、
今日は取り分けた分のトマトソースのパスタを器用にフォークに巻いている









「はい、あーん」


『は？』









イキナリ「あーん」だなんて頭がおかしくなったのかと眉をしかめると









「ソース服に飛び散ったら困るでしょ？
ほら早く」









お皿を持ったままフォークを私に近付けるので、眉をしかめたままパスタを口に入れた









「ニョッキは自分で食えるでしょ？」



『…だから私にこっちにしなって言ったの？』



「そだよ？」









私が白いワンピースを着ているのを気遣って
ソースが跳ねにくいメニューを選んでくれたんだと分かると



いつのまにかそんな気遣いが出来る男になったんだと驚いてしまう









けど









『最後まであーんで食べさせてくれる気？』


「やだ？」


『絶対頭おかしいカップルだと思われるって』









そう言うとゲラゲラと笑いながら
またフォークにパスタを巻き付けている









「じゃ巻くだけにしてあげる」


『それでも十分おかしいけどね』

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