quartetto.

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ビールグラスから口を離した臣くんがまた私を不機嫌そうに睨みつける









「どーせ兄貴と連絡先くらい交換したんでしょ？
俺にも教えろ」


『え…私の？』









臣くんとは仲は良い方だとは思うけど
今まで外で会ったりした事はない


話も聞いてくれるし、臣くんからプライベートな事を話してくれる事もあるし
臣くんの事は好きだけど








なんというかそれは
隆二のおまけみたいな感覚だった









隆二をこのお店に誘ってくれたのも臣くんで
2人が仲良いのも知っているし



私と臣くんの間には隆二がいるから





だから連絡先を知らなくても何も困る事は無いと思うのに、なぜ急にここに来て私の連絡先なんて知りたがるんだろう









「今までは隆二だけだったから
いーから早く教えてよ」









今までは隆二だけだったからの意味も

ただアキラさんと連絡先を交換しただけで、
そんなに臣くんにとってそれが面白くなく感じる理由もよく分からないけど







教えろと言われて断る理由もないから
カウンター越しに連絡先交換をすると
すぐに臣くんからメッセージが来た









"好き"









『え？なにこれ？』









初めてでそしてイキナリのメッセージが
"好き"
の二文字って






もう臣くんは
色々と何かをすっ飛ばしている気がする









私の困惑した声に「なになに」
と隆二とアキラさんが両サイドから携帯の中を覗き込もうとするも





「お前らは見んな！」







とカウンターの中で怒っている臣くんに止められている









「まだ誰にも言われてないだろうからさ、
俺が1番最初に言ってやったの」









ニヤリと笑う臣くん









なにがなんだか訳が分からないけど
これについて深く突っ込むのもどうなのか
好きにも色々あるし

それにアキラさんの横でそんな事を追求するのもなんだか気が引けたので
そのまま携帯をバッグにしまってビールを飲む事にした









「おい無視か」


『えええええ…怖いよ…』

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