quartetto.

もうひとり ページ32

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アキラさんの後ろに続いてカルテットに入ると
カウンターにはいつも通り出来上がってご機嫌な直人さん







「Aちゃーん♡待ってたー！
ってゆーかアキラさんズルイ！
俺の方がAちゃんと付き合い長いのに！」









そしてカウンターの中には
接客業としては完全にアウトだという程の怖い顔をして仁王立ちしている
隆二と臣くん









『…なんで2人そんな怒ってるの？』



「何じゃねーよ、2人して一発ヤッてきたみたいな顔しやがって」









こんな不機嫌な顔の臣くんは初めてで
怒っても美男子だな。と感心してしまう

言葉もとてもキツイのに、私達の為にビールをグラスに注いでくれている


隆二は黙ったまま私を見つめるだけ
逆にそれが怖い






そもそもなんで2人はこんなに怒っているのだろう









「デリカシーないなー広臣は
そーゆー事女の子に言わないの」









アキラさんに促されて2人に睨まれたまま
直人さんと3人で乾杯をする









「Aちゃん今度は直人さんとも飲みに行ってね？
俺なんでもご馳走してあげる！」


「直人さんはオレ達の目が届くとこじゃないとダメ、絶対手出すじゃん」


「えーそうなったらもうそれは大人の世界でしょー？ねー？Aちゃん♡」


『…直人さんはここで会いましょ』


「うぇー！ひどっ！なんで！
俺もスーツ着てきたらいいの？！」









相変わらず今日も元気に出来上がっている
スーツは別に関係ないのに
アキラさんにどこでスーツを買っているのかとおかしな事を聞いている









そして
さっきから黙ったままの隆二とは対照的に
まるで隆二が2人に増えたかの様に
臣くんがずっと怒っている






お兄ちゃんを取られた感覚で怒っているのだろうか









『臣くん怖い…』


「あ？」









怖いと言っただけなのにますます逆上させてしまったようで、その凄むようなひと言に思わず体を縮ませていると
アキラさんが私を庇うように両手で包んでくれた









「やーめーろ」


「…兄貴の女じゃねーっつーの
あー！俺も飲も！Aおごれ！隆二の分も！」


『えっうん。どうぞ…』

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