quartetto.

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「他にも何店舗かあるんだけど、
でもやっぱりあの店に行っちゃうかなぁ
あのお店だけ雰囲気が独特なんだよね
集まる人達も面白いし、直人さんとかさ
あとAちゃんもいたし」









そういえばアキラさんは私と話す前から
私の事を覚えていると言ってくれていた









「店以外でも会ったことあるの、知らない？」


『えー…全然分からない…いつですか？』


「隆二とAちゃんが桜見に行った時、
広臣と会ったの覚えてる？」









確か去年の春、2人のお休みの日にちょうど桜が満開だったので、ランチの帰りに2人で桜並木を歩いてお散歩をしていた日があった


その時仕事に向かう途中の臣くんに偶然会って、桜の木の下で3人で写真を撮った









『…もしかして一緒にいて写真撮ってくれたのってアキラさんですか？！
あー…そっか、あの時確かアキラさんスーツ着てませんでしたよね？』


「そうそう、去年はまだスーツ着てなくて
自由な社長気取って仕事の時もラフな格好してたんだよね、今になったら恥ずかしいわ」









臣くんとは全然顔も似ていないし、私服姿だったから、きっと臣くんのお友達かな？くらいにしか思ってなかったんだろう





あの頃に戻って無邪気に隆二が働くお店の社長に写真を撮ってもらっていたバカな自分をぶん殴ってやりたい気分になった









『初めから失礼な女ですねホント…すみません…』








恥ずかしさのあまりガックリとうなだれる私を見て、またアキラさんは楽しそうに肩を揺らしながらお酒のグラスに口を付けていた









「あの時から隆二ずいぶん可愛い子連れてんなーって思ってたの
でも全然Aちゃん気付いてくれないし、隆二は俺の女感出すし、声掛けるまでに1年かかったわ」









こんな大人な男性に可愛いと言われるなんて
私の今までの人生であっただろうか
お世辞だと頭では分かっていても
なんとなく良い気分になって顔が赤くなっていくのが分かった






アキラさんにしてみれば、こんなセリフ簡単なんだろうけど









でもそれよりも
"隆二は俺の女感出すし"の方が何故か引っかかる

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