quartetto.

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それでもヒステリックに怒鳴り散らす上司にだけはなりたくなかったので
努めて冷静に話をしているのに

それが更に面白くないらしい









「あんなチャラそうな男の人と朝からイチャついてるから部下の仕事ぶりも見えないんじゃないですか？」









一瞬何を言われているのか分からなかった









あんな男って誰のことだろう
朝からイチャついているって









彼女の言葉を繰り返しているうちに
それはあの隆二に送ってもらった日の事なんだろうと気付いた






だからコンビニの前で降りたかったのに
今更そんな事を言っても仕方がない






同僚に見られて
「あれは誰だ」と騒ぎ立てられるならまだしも
一番見られたくない人に見られてしまった









彼女はまるで私の弱みを握ったかの様に
楽しそうに話している









何度も言うが、
ミスをしたのは私ではなく、自分なのに









普段から年上の自分より出世が早い私を好ましく思っていない事はもちろん知っている





社内恋愛で結婚相手を見つけて、
中には寿退社していく他の年下の社員達を面白くないと感じているのも知っている





彼女に恋人がいようといまいと、興味はないし
いないからと言ってそれで嫌な態度を取られる下の子達も可哀想に。くらいにしか思ってなかった
私は私で毎日チクチクと攻撃されているのだから




だからその矛先までもが私に向くとは
まるで思いもしなくて

まさに開いた口が塞がらないとはこの事だと思った









きっと彼女も私には男っ気もないから
そこだけは言えなかったのだろう








それをちょうどタイミング良く、
私と隆二の姿を見て
意気揚々と攻撃してきたというわけだ

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