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〈一緒に散歩しませんか〉
メッセージが届いたことを知らせる音で目が覚めた。部屋の中はうっすらと明るくなっていて、時間的には朝なのだと認識する。スマホを枕元から手に取り、まだ薄くしか開かない瞼で通知をタップする。パッと開かれて、より明るさを増した画面が目に痛い。
「ラウくん…？」
ぼんやりと視界に入ってきた文字。掠れる声で差出人の名前を呟いた。
〈ごめんなさい。きっと起こしちゃいましたよね…〉
既読になったのを確認したのか、すぐさま次のメッセージが届いた。一文字ずつゆっくり指をスライドさせていく。
〈おはよう。気にしないで。なにかあった？〉
突然送られてきた早朝のメッセージに、何か理由があるのではないかと思って返信をしてみる。
送った瞬間に既読の文字が出た。
〈Aさんに会いたい〉
数秒の間ののち、あまりにも簡潔でストレートなメッセージが画面に現れて、心臓が大きく跳ねる。
〈早く目が覚めちゃって散歩してるんです〉
〈そしたらAさんのことばっかり考えちゃって〉
〈会いたくなっちゃいました〉
〈うざいですよね…。調子に乗り過ぎました。ごめんなさい〉
〈返信はいらないです〉
〈今日、仕事休みですもんね。気にしないで二度寝してください〉
次々と間髪入れずにメッセージが送られてきて、一方的に終わらせようとする言葉達が並ぶ。いつもより早く拍動する胸の奥とは対照に、まだ働きの鈍い頭は読むだけで精一杯だ。
私の仕事が休みなことまで把握してるんだ…とか、呑気なことしか浮かばない。
〈むりだよ。私だってそんなこと言われたらラウくんのことばっかり考えちゃう〉
ぼんやりしているのを良いことに深く考えずメッセージを返す。文字を見返して、意地悪過ぎたかなと思うと、小さく笑う余裕が生まれた。またすぐに既読の文字が出る。
ところが、3分経っても返信は来ない。私はまた文字を打つ。
〈まだ時間ある？会いに行ってもいい？〉
目も覚めてしまったし、早起きも悪くないと思った。悪くない、と正当化する自分には気付かないふりをした。湧き出そうな感情は、静かに、確実に、閉じ込めておく。けれど、
〈駄目です。今、会ったらAさんを困らせることしか言えそうもないから〉
〈俺が言い出したのに、すみません。でも嬉しかった。そろそろ家に帰ります〉
瞬時に残念だと思って、飛び出てきてしまった感情に困惑する。
…会いたかったな。
素直に思う。そう、素直に。直感的に。
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ありぃ(プロフ) - shirataman104さん» 前作に続きコメントありがとうございます！19歳のうちに完結する予定だった彼はリアルでハタチになってしまいました^^; お言葉に甘えてのんびり頑張ります！読んでくださっている方がいるのだと実感すると、やる気エンジンがかかります 笑 (7月27日 21時) (
レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
shirataman104(プロフ) - 前回も読ませていただき、今回も素敵な作品、じっくりと読ませていただいております^ ^ありぃ様のペースで、ゆっくりでもいいです！楽しみに続きを待っています^ ^ (7月27日 2時) (レス) @page48 id: 691ddf008e (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - lapis0216さん» コメントありがとうございます。まだまだ進展しない関係で楽しめているかな？と不安になっていたので、そう言っていただけてとても嬉しいです^^ これからもよろしくお願いします！ (2022年7月2日 23時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
lapis0216(プロフ) - ドキドキしながら読み進めております(^^)更新、楽しみにしています！！ (2022年7月2日 23時) (レス) @page16 id: 597be45ed2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありぃ | 作成日時：2022年6月9日 14時
