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Raul side
無理に話すことはしなかった。
お客さんも少ない時間で余裕があったから、なるべく自分がホールに出るようにした。
先輩には「なんか今日、張り切ってんじゃん」とか言われたけど、気にしている場合ではなかった。
Aさんからの視線だけは少し気になったけど。俺が何でこんなことしてるのか、とっくに察しているんだと思う。『余計なことしないで』とか、思ってるんだろうな…。
頑張って遠ざけていたのに、それでも嫌なタイミングは結局訪れてしまった。
彼女は帰り際に、Aさんのほうへ寄って声を掛けていた。聞こえてくる言葉は「今日も美味しかったです」とか、「仕事で近くに来たので」とか、他愛のないものだった。変にふっかさんの名前を出すこともないし、嫌味のない可愛らしい人だった。
Aさんは来た時よりは、落ち着いて笑顔を見せていて丁寧に会話を返している。
そういうところ、やっぱり大人だなと思う。
「ラウくん、私のこと見過ぎ」
戻ってきたAさんは小さく笑ってそう言って、俺の横を通り過ぎていった。
そのあとはいつもと変わらない店内で、少し元気のないAさんと、いつまでも目で追ってしまう自分がいた。
梅雨時の湿気から解放された薄暗い室内は、心地良さと共に怖いくらいにひんやりしている。思わず両腕を自分で抱え込んでひとさすりした。
サン、サン、サン、とタイルカーペットを踏む俺の足音が妙に響く。
目的は一つだから立ち止まることもない。
一層、照明が落とされた空間。
相変わらずふわふわと回り続ける、淡く色付けられたクラゲたち。
「何しに来たの」
Aさんは、クラゲに似ている。
ふわふわしてて、綺麗で、掴みどころがなくて、どこか儚い。目が離せなくなるんだ。
触れられそうで触れられない、海を漂う月。
「Aさんに会いたいなって」
俺は間違いなく貴方に惹かれている。
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ありぃ(プロフ) - shirataman104さん» 前作に続きコメントありがとうございます！19歳のうちに完結する予定だった彼はリアルでハタチになってしまいました^^; お言葉に甘えてのんびり頑張ります！読んでくださっている方がいるのだと実感すると、やる気エンジンがかかります 笑 (7月27日 21時) (
レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
shirataman104(プロフ) - 前回も読ませていただき、今回も素敵な作品、じっくりと読ませていただいております^ ^ありぃ様のペースで、ゆっくりでもいいです！楽しみに続きを待っています^ ^ (7月27日 2時) (レス) @page48 id: 691ddf008e (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - lapis0216さん» コメントありがとうございます。まだまだ進展しない関係で楽しめているかな？と不安になっていたので、そう言っていただけてとても嬉しいです^^ これからもよろしくお願いします！ (2022年7月2日 23時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
lapis0216(プロフ) - ドキドキしながら読み進めております(^^)更新、楽しみにしています！！ (2022年7月2日 23時) (レス) @page16 id: 597be45ed2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありぃ | 作成日時：2022年6月9日 14時
