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Raul side
空いたテーブルを片付けて戻ると、妙にAさんの顔が強張っていた。
笑ってるけど、ちっとも笑ってない。
店内はすぐに把握出来る数ほどのお客さんしかいないから、クレームがあったとかそんな雰囲気も感じられなかったけど…。
「あれって深澤さんの彼女じゃないですか？」
食器をシンクに運び、カトラリーの補充をし始めると微かに聞こえてきた、バイトの先輩の声。「うん、そうだね」とAさんの声が続く。
自然と自分の目が見開くのを感じた。
横目で2人を見ると、ニヤニヤと笑っている先輩とは対照に、変わらず強張った笑顔のAさんが視界に入る。
なんにも気付かないのか、話し続ける先輩に苛立ちが募っていく。
やめろよ。
見れば分かるじゃん。
辛そうな顔させないでよ。
幸いにもふっかさんは今日休みだ。
それだけでも少しは安心する。
でも…。
Aさんは今までどんな気持ちで、2人が店に来るのを、彼女が来るのを見たんだろう。
客席をぐるりと見回して、女性客でまだ来たばかりの人を探す。
メニュー表を開いている、1人に目が止まった。
普段何してる人かなんて知らないけれど、オフィスカジュアルな服装から見るに仕事の合間なのかもしれない。
自分が動揺しても仕方ないと思い、一旦大きく息を吸い込んで細く吐く。
振り返ると先輩がお客さんを案内するために、その場から離れたところだった。
良かった、と思った瞬間。
Aさんがふらりと揺れる。
慌てて後ろから手を伸ばすも、触れる直前でAさんは自分で踏み留まった。手をぎゅっと丸めて、何かに耐える後ろ姿に、いつもの余裕なんて微塵も感じられなくて。
ごめんなさい。
首を突っ込んでほしくないのは分かってます。
でも…やっぱり放っておけないんです。
「それ、俺が持って行きますよ」
伸ばしかけて引っ込めた腕を、また伸ばして。
そっと触れた小さな背中は頼りなげに震えていた。
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ありぃ(プロフ) - shirataman104さん» 前作に続きコメントありがとうございます！19歳のうちに完結する予定だった彼はリアルでハタチになってしまいました^^; お言葉に甘えてのんびり頑張ります！読んでくださっている方がいるのだと実感すると、やる気エンジンがかかります 笑 (7月27日 21時) (
レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
shirataman104(プロフ) - 前回も読ませていただき、今回も素敵な作品、じっくりと読ませていただいております^ ^ありぃ様のペースで、ゆっくりでもいいです！楽しみに続きを待っています^ ^ (7月27日 2時) (レス) @page48 id: 691ddf008e (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - lapis0216さん» コメントありがとうございます。まだまだ進展しない関係で楽しめているかな？と不安になっていたので、そう言っていただけてとても嬉しいです^^ これからもよろしくお願いします！ (2022年7月2日 23時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
lapis0216(プロフ) - ドキドキしながら読み進めております(^^)更新、楽しみにしています！！ (2022年7月2日 23時) (レス) @page16 id: 597be45ed2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありぃ | 作成日時：2022年6月9日 14時
