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「すみません、待ちました？」
駆け寄る動きに合わせて翻る、モカ色のロングコート。どこまでも絵になる人だ。
「ううん。そんなに待ってないよ」
会社にある、どの部署の人でも使える憩い兼カンファレンススペース。
スツールに腰掛けていた私は、立ち上がり目黒くんを迎える。
「じゃあ行きますか。……ん？どうかしました？」
「いや、なんか、不思議な感じだなぁと思って。あと、色々視線が痛くて…」
私の言葉に目黒くんは周りをキョロキョロと見回す。
「そうですかね？ま、いいや。行きましょう」
先に立って歩き出す。
遅れないように後ろを追いかけるけれど、突き刺さる若い女性社員の視線に心なしか背中がヒリヒリした。
扉が開かれると途端にチーズやトマトを含んだ香ばしい匂いに包まれて、一気に空腹を感じる。
「近くにこんなお洒落なダイニングカフェがあったんだ」
「同期の女子に聞いたら、美味しく仕事の話するならここだって勧められました」
なるほど。確かに半個室になっていてどこも落ち着いた雰囲気がある。"カフェ"とあるけど、メインはイタリアンを中心としたメニューが並んでいてた。
デザートメニューも豊富で目移りしてしまう。
「Aさん、嬉しそうな顔してる」
席に座って「先にどうぞ」と、渡されたメニュー表を広げた私に目黒くんが笑いながら言う。
「ごめん…あまりにも美味しそうで…」
見られていたことが恥ずかしくて、慌ててメニュー表を閉じて目黒くんへ差し出した。
「謝ることなにのに。はい、じゃあ一緒に見ましょ。美味しいの食べてから、俺の話聞いてください」
向かい合う私達の横にメニュー表を広げてくれる。
受け止め方がいつも優しい。それと同時に、最近は主導権を握られているようで落ち着かない。
あまりにも優しく誘導されてしまうと勘違いしそうになるから危険だ。平常心を集めて殻にして、身にまとっていないと甘えてしまいたくなる。
お腹いっぱいになり過ぎないように、メイン料理は一品にして小皿料理をいくつか頼んでシェアした。
他愛のない会話をしながら一通り口にし、満たされたところで「相談したいこと、話してもいいですか」と、目黒くんは鞄からファイルを取り出した。
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ありぃ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます！嬉しい言葉ばかりで感激しております。。。しかももう３回も読んでくださっているだなんて、感謝しても足りないくらいです。いつでもここの黒さんが癒しますので、またいつでも来てくださいね。こちらこそありがとうございました！！ (2021年12月19日 1時) (
レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
るる - めちゃくちゃ好きなお話でした。描写も細やかで、すごくイメージが出来ましたし、黒さんのセリフも絶妙でした。すでに３回読み返して、噛み締めております。素敵な小説を、ありがとうございます！！ (2021年12月18日 22時) (レス) @page33 id: 5db6c5f68c (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - まあさん» 初コメントいただけて感動しております…！ありがとうございます。説明文過ぎるかなぁとか、キュン要素はあるのか？とか自問自答しながら書いておりますが、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。お気遣いもありがとうございます！ (2021年12月11日 16時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
まあ - 登場人物がそれぞれ魅力的で人間味があって、いつも楽しく読ませていただいています。毎日更新が楽しみでもあり、ありぃさんの負担になりませんように、と思っています。 (2021年12月11日 9時) (レス) @page27 id: c7a497417a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありぃ | 作成日時：2021年11月24日 23時
