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暫く話をしていると、中学生の頃のように会話はポンポン進むようになった。
1度も会わなかったの高校生の時の話や、大学生活が始まった現在のこと。話題は尽きない。
「…なあ、この後抜けへんか」
少し声のボリュームを落として白石君が私に囁くように言う。突然の提案に私はびっくりして、一瞬声が出なかった。
それってその…合コンであるようなノリでお持ち帰り、ってこと…?いやでも白石君に限ってそんな…?
色々な葛藤が頭を駆け抜けて返事が出来ないでいると、白石君が慌てたように言葉を続けた。
「あ、別にやらしーことしようとか思ってんのとちゃうで?
ただもっと喋りたいねん。Aと、2人で」
後半の部分は、しっかりと目を見つめられて、言われた。どこまでも真摯な瞳に、心臓がうるさくなる。
「あの時、喋ったり出来ひんようになってもうたやん。
でももっと思ってたこと喋れてたら、何か結果はちゃうかったんかなって、気まずくならんですんでたんとちゃうかなって、後悔しとってん」
あの時、っていうのは紛れもなく中学生の時のことだろう。私たちが周りに振り回されて、勝手に気まずくなって、話せなくなった時。
「だから、もっとAと2人で居させて欲しいねん。2人っきりのとこで、口説かせてや。そんで俺に、チャンスくれへんか?」
「…今、って…口説いてるの?」
「せやで」
もっと話したかった、っていうのは私もずっと思っていた。
直接言われてないけど、好き、って言われてるみたいな気がしてどきどきする。多分頬も赤い。きっと白石君は私のそういう所を感じ取れるから、すごく恥ずかしいけれど、それでも彼と一緒にいたいと思うんだから、凄いなと思う。
ああよかった、私、間違ってなかった。
数年越しの恋が、叶うかもしれない。
私は、笑って頷き、彼の提案を受け入れた。
あの頃より少し大人になった私たち。どんな物語が紡げるかな。
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作者名:かの | 作成日時:2017年3月28日 0時