【テニプリ】君と始める恋物語part3【短編集】 (ページ2)

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「もうすぐ100回だね、千石君の告白」
昼休み、一緒にごはんを食べている友達が言った。

「そういえばそうだね」

このまま今まで通り、毎日告白してくれるのだとすれば、あと３週間ほどで100回目の告白を迎える事になるだろう。
彼がこれまで何度私に言葉を送ったのか、数えているのかは定かではないけれど。

「にしても、好きだ、とは言ってくるくせして当の本人はあの様子じゃねえ」

友達はチラリと窓から中庭に目を向けた。
日当たりの良いベンチに、千石君と女の子が１人、並んでお昼を食べていた。女の子の方は見たことがないから、多分下級生だろう。

「ああ、また新しい彼女出来たんだね」

千石君は自他共に認める、女の子大好き人間である。
どこで何をして居ようとも、可愛い女の子を見かけたら声をかけずにはいられないし、相手が乗ってくれればデートにすぐに誘う。軟派な男の子なのだ。
付き合って、とか彼女になってくれ、とかそういうやり取りがこれまでの彼女たちとの間にあるのかは知らないけれど、隣にいる女の子は目まぐるしくかわる。
今彼と一緒にお昼ご飯を食べている女の子も、始めて見る子だった。

「A、もっと怒ったり無視したりしてもいいんじゃないの？」
「千石君に？」
「そう！」

友達がイライラしながら言う。
きっと私のことを心配して言ってくれてるのだろう。厄介な男に好かれてしまっていると。逆の立場なら私だってそう思う。

「いいんだよ、千石君はあれで」

へらっと笑って私が言うと、友達は不思議そうな顔をする。
だって私は知ってしまったから。
へらへら笑いながら可愛い女の子をナンパして、彼女をとっかえひっかえしているような、そんな彼の心の中を。
未だに不満そうな顔をしている友達を、曖昧な笑顔で交わして目を逸らすと、偶然にも窓の外の千石君と目があった。

あ、Aちゃん！

声は聞こえなかったけれど、口の動きだけで彼が私の名前を呼んだのが分かった。
彼が満面の笑みでこちらに手を振ってくるので、私も小さく手を振り返した。
下級生の彼女が私達を見て、すごい形相で私を睨みつけてくる。

うわあ、可愛い子って怒ったらすごく怖い。

私は引きつった笑みを浮かべた。