#5 好きになれない ページ8
『私、あんたのこと嫌い。本当に気が合わない』
「そりゃあどうも。俺も同じことを思っていたところだ。ククク…だいたい、俺みたいな狂った魔人とお前みたいなただのガキが対等に話せるわけがねぇだろうよ」
『さらっと言うけどやっぱり魔人なのね。あとガキって言わないで、私もうすぐ18歳だから』
「俺からすりゃあただのガキだ」
『大して年齢は変わらないと思うわよ?』
悪態をつき合いつつ、私は彼の隣に転がっているドラム缶に腰掛ける。
こいつの隣に座るのは癪だが、ここくらいしか安心して腰掛けれる場所がなかったのだ。
「俺のこと嫌いならさっさとこんなところ出て帰ればいいんじゃねぇか?」
『市長に説明して欲しいんでしょ?あと、私の家もう無いし』
嫌味を言ったつもりだったが、彼には伝わってなさそうだった。……案外頭は弱いのだろうか?まあ、見た目や口調からして、あまり知的な印象は受けないが。
それとも、さっきの彼の発言自体が私に対する嫌味だったのか。
どちらにせよ、仲良くなれそうな感じはしない。
「ま、説明は欲しいな。あいつが怒ったらどうなるかなんて想像つくし」
『それに関しては同意する。私がのこのこと市長の前に顔を出したらどうなるのかもね』
まあ、人知れず殺されて終わりだろう。
彼にとって私は死んだ人間なのだ。本来ならば、とっくの昔に。
__でも、今の私には秘策がある。愛した日常を捨てることにはなるが、この爆弾魔から逃げて、また訪れる死刑宣告に怯えながら過ごす日常よりかは、いくらかマシな日々を過ごせそうな秘策が。
「で、着いてくる覚悟はあるのか? お前……あぁそういや」
まだ名前を聞いてなかったな、と自己紹介を始める爆弾魔。
「俺はフーゴ・ドレッセル。
彼は手榴弾を片手で玩びながらそう名乗った。うわ、やっぱり危ない人だと思いながら、私も彼の顔を見て名乗る。
『私の名前はA・ガルシア。魔人名とかは特に無いけど、とりあえず魔人ね』
__無意識下、爆弾を投下してしまったことを、この時の私はまだ知らない。
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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時