#2 解せない ページ5
振り返ると、そこには背の高い男が立っていた。
大量の手榴弾が引っ掛けられたカーキのジャケットが、風に吹かれて靡く。
深く被ったフードと顔を覆うガスマスクのせいで素肌は見えないが、それでもその正体は安易に想像できた。
『あんた、噂の爆弾魔……!』
私は敵意を露わにして彼を睨みつけた。
最近、市街地で不可解な爆破事件が多く発生している。
警察は情報を規制していたようだが、幾度も繰り返される事故から市民は「爆弾魔が出る」と噂をするようになったのだ。
……その後公開された情報によれば、噂もあながち間違いではなかったようだが。
「おいおい……そんなに睨むなって。そんなもんで爆弾魔である俺が爆破行為をやめると思うか?…もっとも、この出火に関しては俺の管轄外だけどな」
『……どういうことよ?』
避難勧告を出すのも忘れ、私は彼にそう問いかける。
「予定より2時間早い。お前の家に時限爆弾を仕掛けたのは俺だが、そもそもは上のやつの命令に従っているだけだ。あいつは隙のない完璧な作戦を好む。数分ですら駄目なのに、2時間もの誤差を許すわけがねぇ。……俺だって最悪、処分されちまう」
爆弾魔は声のトーンを少し下げ、そう語った。
彼の話には色々突っ込んで聞きたいところがある。
上のやつ? お前は自分で好きに爆破してるんじゃないの? そもそもその上のやつって誰? そんなに怖い人なの?
……一瞬にして様々な疑問が浮かんだ。でもそれを尋ねるのは後でいい。
まずは一言、言いたいことがあった。
私は息を大きく吸い込み、そして__
『結局あんたが仕掛けた爆弾のせいで燃えてんじゃん! 何が管轄外だよ!』
彼の
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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時