【被虐のノエル】愛したい、愛せない【フーゴ・ドレッセル】 (ページ31)

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#25 望まないページ31

『……それが、あなたの生き様……。あなたが、悪魔に魂を売った理由……』
「ええ。面白かったかしら？久しぶりにお話できて、私は楽しかったわ」

アメリアの人生は、想像以上に凄惨で、悲しいものだった。
夢を砕かれ、命を握られた彼女。天才と呼ばれた少女が転落していく様。
感受性の強い私は、あっという間に、彼女を敵視出来なくなっていた。

でも＿＿それで、いい。

「……ゲホッ。おい、A！敵地の真ん中で呑気におしゃべりしてるんじゃねぇ……！」
「まぁ……！来てくださったのね！」
『フーゴ！大丈夫なの！？』

壁を登りきったのであろう、この階にたどり着いたフーゴは、先ほどよりも体調が悪そうだった。
顔色が悪く、傷が増えている。ガスマスクは壊れてしまったのだろう、もう着けてすらない。
彼を気遣ってはいけない。彼を愛する気持ちを表に出してはいけない。
そうは思っていても、感情はは抑えきれるものではない。

ジュッ、という音と共にフーゴが咄嗟に足をあげる。彼が履いている黒いブーツの先が溶けかけていた。

『フーゴ！私は大丈夫って言ったでしょう！？このくらい自力で……』
「うるせぇ！俺は仲間を見捨てねぇ……。バロウズとは、違う……ゲホッ」

アメリアがフーゴの方に向かう。必死に止めようと声をあげるが、届かない。
この拘束さえどうにか出来たら……やっぱり、爆破するしか……？

『待ってて、フーゴ！今行くから』
「お前、そこで爆弾使う気か？バカ、火傷どころの騒ぎじゃねーぞ！」
「あら？フーゴさん、そんなこと言っている場合なのかしら。ふふふ……このままじゃあ、足が腐っちゃうわよ？」

アメリアの言葉に対して、彼はニヤリと笑みを浮かべた。

……どうしよう。何か、嫌な予感がする。
さっき、フーゴが落ちた時にも感じた……。

「この薬に可燃性はないんだろ？なら……」

そう、それは＿＿

「炎に巻いてやるよ！」

『フーゴ、やめて！！』

私の契約の代償が発動するときのような、嫌な胸騒ぎ。