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幕間2 彼は解らない ページ21

だんだん、いい表情をするようになった。
炎に巻かれた家を背景に笑うAを見ながら、そんなことを思った。

『フーゴ。今日はこれで終わり? フーゴのことだから、まだ燃やしたりないんじゃない?』
「爆熱の魔人はこんなもん燃やしたって満足できねぇんだよ」

Aの微妙に的確な言葉に苦笑いしつつ、Aの目を覗き込む。

『……何?』
「お前、変わったな」

Aは俺から目を逸らすことなく、あの強がりの笑みを浮かべた。
明らかに、目の色が変わった。何か、覚悟を決めたような目だ。

『……私、決めた。愛せない人を愛し、愛する人を愛さない生き方__代償と戦い、魔人として人を不幸にしてでも生きる。それが、悪魔と市長に対しての復讐になり得ると思う』

風に吹かれて靡く艶やかな黒髪が視界の端に映る。こいつは俺の補佐として活動するうちに、生きる目的を見つけたようだ。
……わからない。日常をひっくり返す力を願った俺には、変わらない日常を愛する気持ちが。
手段が目的になっちまった俺には、目的のために手段を選ばないAの覚悟が。

__だからこそ、こいつに惹かれちまったんだろうか…。

共に歩いている内に、俺はAをこれからも隣に置いておきたいと思うようになってしまってた。態度はいけ好かないが、ガキにしては根性があるし、話していて居心地がいい。
パイソンが言った「いい相方を見つけた」というのもあながち間違ってはないのかもしれない。

「ああ、そうだ。今度はビルを爆破してこいだと。人使いの荒い市長だぜ」
『ビル? この辺りで大きいビルって言えば…』
「指定されたのは“ステラステージ ラプラス支社”だ。バロウズが使い捨てる予定の<生贄>(スケープゴート)の尻拭いだとよ」
『ふーん。相変わらずあの市長はクズやってるのね』


__そして、物語は急加速 __ 。

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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時

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