#14 気を張らない ページ18
ガチャ、と扉が開く。眠っている女性がいる部屋にお構いなく入るなんてどんなにデリカシーの無い人だろう、と思ったが、入ってきたのは女性の様だった。
私と同じ艶々とした黒髪を持った、小麦肌吊り目が特徴的な気の強そうな人。流した前髪の1束が緑色に染められていることと、露出の高いタンクトップにスキニーパンツ姿から、あまり素行の良い人ではないことが窺える。
「よっ。お前、ボマーと組むことになった魔人だろ? パイソンが「男性が女性の寝室に勝手に入ることは失礼に値することさ」とかなんとか言ってやがったから、取り敢えずあたしだけ挨拶に来てやったぞ」
彼女がひら、と手を上げた時、後ろに背負った金色のパイプが視界に映った。……物騒だ。
『それは……ありがとう。ところで、あなたもフーゴの仲間なのよね。やっぱり元マフィアだったりする?』
「ハァ?あたしが? ちげえよ、あんな頭固いやつと一緒にすんな!」
何故かキレられた。まあ私としても彼女がそんな人間には見えなかったので、素直に謝っておく。
それにしてもこの場所で女性を見かけるのは珍しい。女同士、距離を縮めておきたいと思い、私から自己紹介をすることにした。
『A・ガルシアって言います。知ってると思うけど、フーゴと一緒にバロウズ市長の下で働くことになりました。よろしくね』
「おぅよ!あたしはトード。この呼び名、ボマーにつけてもらったんだぜ?いいだろ!」
『な、なんで蛙なの…?』
「あー、それはだなぁ…」
その後、他愛のない話に花を咲かせた。やっぱり女同士だと気を抜いて話せるのだ。
トードは少々乱暴であるが、案外女の子らしいところもあるみたいで、とても可愛い。人は見かけによらないとはよく言ったものだ。
「そういや、Aってボマーについて来たんだろ?ボマーのファンだったのか?」
『ファ、ファンって訳じゃないけど……まあ、惹かれたところはあった……のかなぁ』
「ということは、Aもボマーリスペクト仲間だな!」
『それは……ニュアンスが違う気が』
若干会話がすれ違うが、まあ、仕方ない。
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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時