【被虐のノエル】愛したい、愛せない【フーゴ・ドレッセル】 (ページ17)

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#13 覚えがないページ17

＿＿私は、フーゴのことが……好き？

『いやいやいやいや。流石に突然すぎない？』

全力で首を横に振り、私は一人ベッドの上で悶え出す。
私の恋愛遍歴は大して多くない。初恋の相手は2つ年下の子で、一目惚れだった。近所の悪ガキに紛れて泥だらけになりながら遊んでいた空色の髪を持った綺麗な子。数日後、スカートを履いて出かけているのを見て彼女が女の子だと気付きショックを受けた記憶がある。ちなみにその少女とはその後仲良くなり、今では幼馴染みと言える関係性になっていた。

それ以降恋をした記憶などないが、初恋が一目惚れだったのだから、今回も一目惚れだった可能性は高い……いや、初対面の印象は最悪だっただろう。ならガスマスクを外した時……？いやいや、私そんなに面食いだったっけ？まあ確かに顔つきは整っているし、金髪がかなり好みではあるが……

もう一度首を振り、思考を飛ばす。そんなことより、問題があるだろう。

そう＿＿私は、人を愛してはいけない。

心の中で想うだけなら実害はないかもしれない。でも、想い続けていれば、いつかは態度に出てしまうだろう。そうすれば、彼がどんな不幸に見舞われるかもわからない。

『むー……。なんでこんなことに……』

ベッドの上に倒れこむ。ポフ、と壊れかけのスプリングが跳ねた。
そもそも、こんなことになったのはあのクソ市長のせいじゃないか。こういう時、普通だったら復讐を誓ったりするものなのだろうか。

……でも、復讐って言ってもなぁ……。

私は市長の下で働く魔人になったのだ。下手な真似はできない。
殺されないための苦肉の策だったといえども、やっぱりあいつの下にいるのは不快だ。
まあ、それはラプラス市に住んでいる時点で避けようのない事実か＿＿そんな考えに至った時、

「おーい。開けるぞ！」

扉の向こうから、聞き覚えのないハスキーボイスが聞こえた。