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#8 普通じゃない 後編 ページ11

『仕掛けてあった時限爆弾を、私がたまたま起動しちゃったんです。時間がズレちゃったのは彼の責任じゃないわ。計画を狂わせてしまってごめんなさい』

市長を挑発すると今この場で殺されかねないので、真実をそのまま説明する。私が謝ったところで逆効果だということは流石に把握しているが。
しかし、案外彼はそのことはもはやどうでもいいといった感じだった。それよりもこの現状を説明しろ__そう言っているようにも見えた。

『ああ、私、悪魔と契約したんです。貴方に騙されて、親殺しの冤罪を被せられたあの日から、変わってしまった日常を嘆いて。周囲の人間からその記憶を消してもらうようにお願いしたの。……その願いは叶った。でも、真の願いは叶えてくれなかった』

演説をするかのように、両手を広げて、自分の罪について語る。悪魔に魂を売った、あの瞬間を思い返しながら。

『私は、今までと変わらず誰かと愛し合いたかったから冤罪を焼き払ってもらった。でもそれじゃ駄目だった……!私は“愛した人間がどうしようもない不幸に見舞われる体質”を背負って生きるという代償を払うことになった。そんなの本末転倒。大悪魔って本当に性格が悪い』

銃を構えた警備員を、市長が手を上げて静止させる。私の話を聞く気はあるようだ。

『でも、それからいろいろ試してみたんです。この代償の基準はなんなんだろうと思って。どうやら、愛を形に表したり、相手に伝えたり、強く込めたりすると代償は発動するみたい。それを応用すれば、さっきみたいなことだって起こせる。……もっとも、古い記憶の中の優しい市長様に向けて込められる愛情じゃあこれっぽっちのことしか起こせなかったみたいだけど』

後ろに立つフーゴのテンションが明らかに上がっているのがわかる。こいつやっぱり相当ヤバいわ、と思いながら視線を市長に移した。
市長は私の話を聞き終えると、つかつかと距離を縮めてくる。

「……話は終わりか?A・ガルシア。それだけならば、今から俺はお前を消さなければならない」
『え、ちょっと待って!まだ続きがあるんですから』

もちろんこんなところで殺される気はない。あの作戦を実行するのは不本意ではあるが、背に腹は変えられない。
……と、いうことで。


『私、フーゴと一緒に貴方の下で働きたいと思います』






「……は!? んだそれ聞いてねえぞ……!」

言っていなかったので。ごめん。

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作者名:cc | 作成日時:2017年12月28日 10時

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