【被虐のノエル】愛したい、愛せない【フーゴ・ドレッセル】 (ページ1)

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心臓が、止まったかと思った。

『……！？』

立っていることすらままならなくなって、やがて少女は膝から崩れ落ちる。
外傷は＿＿ない。身体に変化すらない。
今、目の前の大悪魔に対して何らかの代償を支払ったことは確かなのだが、肝心のそれが何なのかがわからない。

「代償は支払ってもらった。“愛した人間がどうしようもない不幸に見舞われる体質”＿お前はこれからその罰を背負って生きて行くのだ」

その言葉に、先ほどまで確かに見えていた、一筋の光が…消えた。

『……はぁ！？待て、悪魔！話が違うじゃない！』

咄嗟に手を伸ばすも、その黒い影はもう掴めない場所まで離れてしまっている。
先ほど少女が描いた魔法陣の上まで移動すると、影は虚空に溶けていった。

『何で？私はそんなこと望んでない！それじゃあ契約までした意味がない……！』

少女の悲痛な叫びが誰かに届くことはない。

『私から冤罪を焼き払って』

「何故お前はそれを望む？」

＿＿『今まで通り、誰かと、愛し合いたいから』

少女の願いが叶うことも、きっともう、ない。