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『早くここを出ないといけない。一刻も早く。でも、信じて。皆を犠牲にするようなことはしない』
彼は沈黙の後に疑問を呈する。
「さっきも思ったけどさぁ。どうしてそんな考えになれるの? ボクがキミたちを襲うことを知ってたんでしょ? 相当なお人好しなのかなぁ……理解できないよ」
『……知ってるからこそだよ。少なくとも本当は、モンスターの皆が優しいってことを』
この世界全てが、私の知っている通りの設定ではないかもしれない。私の願望に近いかもしれないけれど、それでも信じたいのだ。トリエルさんやフロギーたちの暖かさを思い返せば。
「……ハハハハ!!」
『!?』
静まり返った遺跡に、彼の高笑いが反響する。私を見上げる瞳は、不気味な程に冷酷だ。
「なにがおかしい!」
「ハハハッ……どうやら全然わかってないみたいだね。だから、これだけ教えておいてあげる。キミたちは、その優しい筈のモンスターから嫌われることになるよ!」
『っ……どうして?』
「ここを出たいっていうなら、いずれ知ることになるよ。……痛い程にね。まあ安心してよ。少なくともボクはキミたちを殺して力を奪うつもりはない。せいぜい頑張ることだね!」
「なっ……待てコラ!」
彼はそれだけを言い残し、地面へと潜り込んでしまった。
「 くそ……言いたいだけ言って逃げやがって……なんなんだよ畜生!」
『っ……エドワードさん……とにかく、説明しますから。歩きながら話しませんか』
彼をなだめて、ようやく私たちは話し合いに至る。
今は情報の整理が必要だ。その為にもまずは、この世界について知り得ることを、彼に説明しなければ。
でも、私が彼のことを知っているということは伏せておこう。ここを出るにあたって、その事実は重要ではないし……何より、怖いのだ。不気味に思われるに違いないし、敬遠されてもおかしくない。
彼は唯一のニンゲンの味方であり、それを失うことは、とても怖い。
だから罪悪感はありつつも、隠し通すことに決めた。
『まずは……この世界について、ですね』
説明する間にも、フラウィの言い残した言葉が頭にこびりついて離れなかった。
‟嫌われる”。あまりにもその言葉ははっきりとしていて。
まるでこの先に待ち受ける、今は想像もし得ない‟痛み”を表しているようだった――
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アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時