――***―― ページ36
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『ごめんね、違うんだ……! えっと……』
わたわたしてしまう私を見て、フロギーは首をこてんと傾けている。
直後、隣で大きく溜息をつく声が。
「ハァ……口説くと言やぁ、いけすかねえやつを思い出しちまった。さっきのマネキンとの意思疎通はどうしたんだよ……ったく」
エドは私の代わりにフロギーに向き直り、じっと顎に手を当ててから、ぎこちなく口を開く。
「あー……悪いけど、先を急いでるんだ。あんたに危害を加えるつもりはないから、ここは引き下がって……」
「……にゃ〜」
「……おい、なんだよ、その寂しそうな目は」
『フロギー……』
この子は、言葉の意味はわからなくても、彼の言葉に込められた“拒絶”の気持ちは、直感的に理解しているようだ。
俯いて、声のトーンを落としている姿に、胸が詰まって……
気付けば、フロギーの頭を撫でていた。
言葉よりも、もしかしたらこの子には、こうして行動で示してあげた方がいいのかもしれない。
「にゃ……」
『よしよし……大丈夫だよ。私たちは、あなたが嫌いな訳じゃないから』
むしろ、大好きなくらいだ。
顔を上げたフロギーに、私は目を細める。
「ふふ、心地よさそうにしてる」
「まるで猫相手だな……。……」
エドの言葉が途切れ、トリエルさんも私も振り返る。
「? エドワード、どうしたの?」
「ああ、いや……置いてきちまってるやつのこと、思い出してさ」
『……』
それはきっと、アルのことだろう。
彼は猫が好きだから、もしエドが、私がフロギーを撫でている姿で、彼を思い浮かべたのだとしたら……。
『(早く、帰してあげたい……)』
「にゃあ〜〜」
『っ、フロギー?』
胸が締め付けられて、俯いた私の肩に、フロギーが軽い身のこなしで飛び乗ったと思ったら、その暖かな肌を私の顔に摺り寄せる。
かと思えば、すぐに飛び降りて、その子は遺跡の奥に行ってしまう。
『行っちゃった……』
「結局何だったんだ、あいつ……ん?」
やれやれと息をついたエドは、遺跡の奥に目を凝らす。
その事態の大きさに、彼は段々と目を見開いて……
「なっ……なんだこりゃ……!?」
ぴょんぴょこ、ぴょんぴょこ。
『!!』
さっきの小さなフロギーを筆頭に、およそ十数匹はいるであろう、フロギーの大群が押し寄せてくる。
あっという間に彼らは私たちを取り囲んで、小さなフロギーは、再び私の肩に乗った。
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アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時