【第13話】知識の片鱗 ページ22
Aside
「……全く読めん。これは、モンスターたちが使ってる文字なのか?」
『おお……』
唸るエドの横に並び、石板の文字を見つめた私は、思わずそう声を漏らしていた。
ゲームでは当然、私たちプレイヤー側にわかるように翻訳されて、テキストとして表示される訳だけど、現実として目の当たりにすると、それらは、今まで触れたこともないような意味不明な記号や文字の羅列だ。
しかし、暫く見つめていると、突然、違和感を感じて……
「ああ、それはね……」
『――‟先へ進みたくば、迷いを捨てよ。真の勇者も、愚か者も、中間の道は歩まず”』
「!」
トリエルさんが説明をしようとする声を、気付けば遮っていた。
二人は驚いたように私に視線を集中させる。
「お前、この文字が読めるのか……!?」
『え、っと……何ていうんでしょう。何となくですが、頭に内容が直接入ってくるような……』
「直接って……」
前知識があるとはいえ、例えば本の虫と称される彼女のように、全て一字一句間違えずに覚えている訳じゃない。
一つ一つ見れば、確かに意味不明な言語だ。
それにも関わらず、感覚的に読めてしまい、それはおぼろげな記憶にもぴったり当てはまる。
説明する私自身、驚いている。
これは、言ってしまえば、トリップのボーナスのようなものなのだろうか。
異世界に住む彼らと、自然と会話が通じて、使われている文字まで読めてしまう。そんな能力が、ひょんと神様から分け与えられたとでも?
でも、思えばそもそも何故私だけ?
エドも、異世界から来たという条件は同じ筈だ。
……いや、考えるのはよそう。
そもそも、この世界に来てしまうなんていうこと自体が、とっくに、凡人である私の考えの及ばない領域の出来事なんだ。答えが出る筈がない。
何はともあれ、ここにおいてはもう確かな現実なのだ。
受け入れる他ないだろう。
「驚いたわ……。エドワードだけじゃなく、Aにもそんな知識があるなんて」
感嘆の声音で呟く彼女に、私は首を振る。
『そ、そんな……。お二人に比べたら、本当に大したことじゃないです』
「いや、その知識は貴重だぞ、A!」
『!』
「もしかしたら、その先にもこの石板があるかもしれないんだろ? オレは全く読めないけど、あんたが代わりに読んでくれれば、知識は共有できる。正直、こんなに心強いことはないぜ……!」
エドは表情を明るくして、私の肩を叩いた。
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アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時