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【第10話】彼らの行方 ページ15

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時は、Aたちが地下世界で邂逅を果たす少し前。



機械鎧の 聖地(メッカ) と称される、にわか景気の谷、ラッシュバレー。

様々な店や工房が連なる街の一角で、屋根の上で腰を落ち着け、すっかり傾いた陽の光をぼんやりと眺める少年が居た。



「……遅いなぁ。早く二人に話を聞きたいのに。ここで張るのは失敗だったかなぁ?」



一つにまとめた黒い長髪を風になびかせながら、彼は息をついてぼやく。

その直後、二つの影が、軽い身のこなしで彼の背後へと降り立ち、慌てた声を上げた。



「ここに居られましたか、若!」

「リン様! 探しました……!」

「おぉ、フー、ランファン! こんなところまで探しにきてくれたんだな」



‟若”と呼ばれた少年、シン国の王子であるリン・ヤオは、甲斐甲斐しい付き人二人の姿に、退屈そうにしていた表情を和らげ、笑顔で彼らに手を振る。

対して、付き人の一人であり、隣で片膝をつく同じく付き人である少女、ランファンの祖父であるフーは、立派に伸ばされた髭を下げて苦言を呈する。



「当たり前ですぞ! ……まったく、目を離すとすぐに居なくなってしまわれる。いい加減、探す方の身にもなっていただきたい」

「はは、悪かったよ。二人に、今日こそ話を聞こうと思って、通りそうな場所を張ってたんだけど……もしかしたら、勘付かれたかなー?」



彼の言う‟二人”とは、エルリック兄弟のことだ。

彼は、自身が背負うものの為、不老不死の法を求め、フーらと共に異国であるこの地、アメストリスへとはるばる訪れた。
そんな彼は、何か知っているらしい二人に目をつけ、出会った日からずっと、彼らを追いかけ回している。

しかし、上手いこと二人に逃げ回られている彼は、今日も収穫がなさそうな予感に肩をすくめた。

するとフーは、彼らの名に反応し、半ば呆れたように告げる。



「若、それは違います。何故ならその者たちはそもそも、今日はここを通らないのですからな」

「えっ! もしかして、二人の行き先を知ってるの?!」



驚きで振り返ったリンに、フーもランファンも頷く。



「ええ。それをお伝えしようと、探していたのですからな。若、あちらをご覧くだされ」



リンの傍へ、フーは恭しい動作で歩み寄ると、リンの向いていた方角と反対の景色を、手で指し示した。



「見えますかな? 彼の者たちはどうやら、あちらに見える山……



――“イビト山脈”と呼ばれる場所へ、出掛けたようなのです」

――***――→←【第9話】遺跡の管理人



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設定タグ:undertale , 鋼の錬金術師 , 夢小説   
作品ジャンル:ファンタジー
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アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時

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