検索窓
今日:12 hit、昨日:4 hit、合計:5,410 hit

【第9話】遺跡の管理人 ページ14

Aside


え、今“認める”って……?

てっきり否定してくると思っていたのに、全く逆の言葉が出され、驚きに私は目を瞬かせる。



「ふふ、ごめんなさい、私ってばつい。そうね。これくらいにしなきゃ、Aが林檎になっちゃうわ」



トリエルさんはくすくすと笑みをこぼしてから頷いた。



『り、林檎って……』



言われて、顔に集まる熱を自覚する。
戸惑う間にも会話は進められ、エドは彼女を真っ直ぐ見つめた。



「……あー、それは置いといてだ。助けて貰っておいて悪いけど、オレたちは先を急いでるんだ」

「……」



トリエルさんはその瞬間、どこか思慮深い面持ちで彼を見つめ返す。

真剣味を帯びたエドの横顔に、私はハッとする。


そうだよね。
彼は円滑に事を進める為に、認めた振りをしただけだ。


勘違いしそうになった気持ちを振り払うように、私もエドに並んでトリエルさんを見つめた。


彼女は何か思案する素振りを見せてから、微笑を浮かべた。



「そうね、いつまでもこんな、冷えるところにはいられないわよね」

「ああいや、そういう意味じゃ……」

「ええ、わかってるわ。何か事情があるのよね? でも……二人だけじゃここは危ないわ」

「っ……」



その凛とした声の響きに、私もエドも押し黙る。

一瞬で雰囲気を変えた彼女は、それを絶やすことのないまま、微笑を浮かべ、私たちに大きな手を差し出す。



「さあ、ついていらっしゃい。この遺跡を案内してあげます」




真剣な瞳の彼女が、一体何を思うのか……その全てを推し量ることはできなかった。



「(……どうすんだ、A)」



エドは、私だけに聞こえる声で言う。



『(今は、ついて行った方がいいと思います。それに、彼女がついてくれていれば、安全なのは確かです)』

「(……仕方ない、か。……はぁ。話を聞けるのは、まだまだ先になりそうだな)」

『(すみません、後でちゃんと全てお話ししますから)』

「(ああ、わかった)」



私たちが頷き合うところを、トリエルさんはただ静かに見守っていた。

私たちは再び彼女へと向き直り、彼女に続いて、遺跡へと足を踏み出すのだった――



.



「A……か」



Aたちがトリエルと共に、遺跡へと入るところを、フラウィは遠くから眺めていた。



「ボクを見た時も、あのニンゲンを庇った時も……まるで“知っている”かのように動いてた。


絶対、尻尾を掴んでやる」



暗闇の縁で、彼は怪しげに口角を上げた――

【第10話】彼らの行方→←【第8話】想定外の言葉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
設定タグ:undertale , 鋼の錬金術師 , 夢小説   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アンテ民 - Hi(^-^)/そこら辺にいる雑草コト、アンテ民でこざいま〜す!((いやぁ〜大好きな鋼錬とアンテが掛け合わせに推しのかしわ様が描いていらっしゃるとね、分かった瞬間吐血しましたねハイ(((更新頑張って下さい!!! (4月15日 2時) (レス) id: 677c09749a (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - 初コメ失礼しましたマジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
エド推し - マジ天才です!!!!!こんな神作品をつくってくれてありがとうございますッッ!!!!!! (2月24日 9時) (レス) id: 3dedb59794 (このIDを非表示/違反報告)
さささ―(プロフ) - 初コメ失礼します見ました!ものすごい面白かったです次の話が出るまで楽しみに待っています! (6月22日 4時) (レス) id: 03f3eacb33 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ@低浮上気味本当にすみません……(プロフ) - 葛見さん» 葛見様、初めまして。そう言っていただけて大変嬉しいです……!更新が本当に遅くて申し訳ございません……頑張って書き続けますね……! (2023年4月5日 17時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かしわ | 作成日時:2022年9月12日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。