となりのデスクのキムくん 2

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お目当てのショットグラスがあったらしく、満足気に紙袋を下げるミンギュ。近くにあるイタリアンに行って、 パスタとマルゲリータを食べて尚のこと満足そうだ。

ちょっとだけワインも飲んだので、2人ともほろ酔い状態。

土曜の夜だからか、人通りが多い。最寄り駅で降りて、階段を下りていると人とぶつかりそうになった。

「あぶないよ」

ふにゃっとしたミンギュの口調に笑いそうになりながら、軽く謝る。

外に出ると、少し肌寒く感じた。

ミンギュが私の肩にシャツをかけた。腕を通すと、律儀にボタンまで閉めてくる。

「それぐらい出来るって」

「いいの。俺が好きでやってんだから」

Aは自分だとめんどぐさがってやらないでしょ、と釘を刺される。

「…どうして、ミンギュはそこまで優しくしてくれるの？」

ボタンを閉め終えて、体勢を戻したミンギュに聞く。ほんのりと彼の頬が赤かった。酔いが回ってきたのかな。

「んー………」

首の後ろに手を置いたミンギュが、言葉を探す。

「綺麗な花を見ると、写真を撮りたくなるのと同じ？」

探り探り、呟く彼の言葉に首を傾げた。

そんな私を見て、ふっと力が抜けたように笑うミンギュ。

「…俺も、大切にしたくなったの。お前のこと」

そう言われて、シャツの襟を直される。

それって、つまり、どういうこと？

あー…と恥ずかしそうに視線を逸らしたミンギュ。

「今度、酔ってない時にちゃんと言うから。今日は送る」

「…わかった、ありがとう」

意外とミンギュの顔が赤くなっている。私と一緒の量しか飲んでいないはずなのに。

何となく黙って歩いていると、あっという間に私のマンションに着いてしまった。

じゃあ、といつも通り解散しようとすると右手を掴まれる。

「送ってく」

「え、もうここ私の家だけど」

「部屋の前まで送らせて」

有無を言わせない勢いで言われて、私は鍵を取り出すしか無かった。手を掴まれたまま、エレベーターに乗って階数を押した。

「今日、楽しかった？」

エレベーターが閉まると、私の様子を伺うようにミンギュが聞いてくる。

「すごく」

そう答えると、嬉しそうに喜ぶミンギュ。こういう所は本当に素直で、素敵だと純粋に思った。

「ミンギュは？」

彼に聞いたところで、エレベーターの扉が開いた。取り敢えず降りて、部屋の前まで向かう。ミンギュの答えを聞く為に彼の方を見ると、恥ずかしそうに笑う。

「勿論、楽しかったよ。楽しかったしー…しあわせだった」

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