となりのデスクのキムくん 2

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そのままミンギュは鉄板の元へと戻って行った。こんなに食べられるかな…残った分はミンギュに食べてもらおう。

「わかりやす」

彼を見ていたファン先輩が呟いた。他の部署の人達の前ではすっかり笑顔のミンギュ。さっきの彼とは違う人みたいだ。

「喧嘩したの？」

ファン先輩はストレートに聞くな…と思いつつ、新しい割り箸を割って首を縦に振った。

焼きそばを見て、昨日の夜のことを思い出す。

いつもお世話になっているB社でデータが消えてしまう事故があり、急遽打ち合わせをすることになった。それから他の予定の調整もしていたら、オフィスの時計は21時。

戻ってきてからのミンギュの顔は、正直怖かった。ずっと黙っていると思ったらため息つくし。

『異動する前も過労で体調崩してるんだから気をつけなよ』

確かに、その通りだ。その通りだけれど…昨日の私はもう疲れて思った通りの言葉を口にしてしまった。

『ミンギュだってこの時間まで残ることあるでしょ。私だけそんな風に言われるのムカつく』

『は？こっちこそそんな風に言われたらムカつくんだけど』

と、ここからは冷戦状態だ。無理やり荷物を纏められて、半ば強制的に残業を打ち切られ家まで送られた。

明日にはいつものミンギュに戻っているかなあと思ったけれど、朝から一向に目が合わない。私達のあからさまな様子を見て勘づいたホン先輩が、バスの隣の席で経緯を聞いてくれた。

ミンギュは心配して言ってくれたのにあんな風に言い返したら、誰だって怒るだろう。彼も同じ時間まで働いていたんだから。

そのことをファン先輩にぽつりぽつりと話すと、楽しそうに笑われる。

「ごめんごめん、君達らしすぎてつい笑っちゃった」

笑いすぎて目尻たまった涙を拭いている。そんなに面白いかな。

「なんか和むよねえ」

なんて相変わらず呑気なホン先輩に、ええ…と困惑した。ファン先輩も頷いていて。

「犬とリスちゃんの喧嘩だから」

「はは、ジスもたまにはいいこと言うわ」

私は首を傾げて先程取りに行ったレモンサワーの缶のプルタブに指を引っ掛けた。

暫く2人と気楽に話していると、お酒も進んで机の上には空の缶が並んでいる。

「シン先輩、海気持ちいですよ！」

後輩の声に顔を上げると、海水浴をしていた後輩がこちらへやって来ていた。

「ほんとに？」

軽い気持ちで立ち上がったのに、手首を引かれて止められてしまった。

「ねえ、アルコール飲んだ人を海に誘わないで」

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