となりのデスクのキムくん 2

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「うわ、これ1人で持って帰ろうとしてたの？電車で？」

サングラスを掛けたミンギュが私の荷物を見て早々に言ってきた。…本当に来るなんて。

「よいしょっと」

私が苦戦した荷物を軽々と持ち上げたミンギュが私の方を見る。

「行こー」

「うん、ありがとう」

エレベーターのボタンを押して、来るのを待つ。

「それにしても随分買ったね？」

「冬用の布団買い替えたかったから。まだ夏だけど」

「これから夏本番なのに」

クスクス笑っていると、エレベーターが開いた。私が先に乗って扉を開けておく。

2人で協力しながら駐車場まで無事布団たちを持っていくことが出来た。ミンギュのマイカー初めて見たかも。

「あー…キーが俺のズボンのポケットにあるから出してくれない？」

「どっちのポケット？」

「ひだりー」

言われた通りにポケットの中には車の鍵があった。鍵を開けると、ミンギュがバッグドアのボタンを押して開けている。

「ありがとう。助かった」

「いいえ〜布団だから思ったより軽かった」

そう言って運転席へと向かう。私も助手席へと乗り込むことにした。ミンギュは前髪をかきあげながら、カーナビを弄っている。

「この後予定ある？」

「え、ないけど」

いつも以上にニコニコと笑うミンギュが、私の方を見て言った。

「じゃあドライブ付き合って」

「…いいよ？」

「今の間は何！？」

急に不安そうな声色になるミンギュは、もう車を発進させてしまっているので戻りようがない。

「今日見たかったドラマが配信されるからそれまでには帰りたい」

「え、今日配信だっけ？」

頷くと、俺も見なきゃ！と張り切っている。この前ハマっていたドラマが終わったと思えば、また新しいドラマが始まった。今度はミンギュのオススメで見てみたら、私の方がハマっている。

そのドラマの先週のエピソードや、先月の仕事の話をしながら、流れる景色を見るのは苦ではなかった。寧ろ、楽しい。

「普段メガネなの？」

会話が途切れた頃、ミンギュが聞いてくる。

「あぁ、これはブルーライトカット用の伊達メガネ。休みの日はパソコンとかスマホよく見るから」

「伊達メガネか」

相変わらず聞いた割には、さっぱりした返答。と思っていると車が赤信号で止まる。自然とミンギュと目が合った。

「メガネも可愛い。休日のAも好きだな〜」

そう言って、手を伸ばしてメガネを少し下にずらしてくる。

「耳真っ赤だ」

慌てて耳を隠せば、更に笑われてしまった。

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