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ランチタイム、オフィスで作業をしていた私は会社近くのカフェに来た。暑くなっていたせいか、涼しい店内にホットのカフェラテとサンドイッチを注文した。
隣のミンギュは今日も忙しそうに外回りに行って会社の中でも色んなところを回って色んな人に会っているのでどこにいるかわからない。
目の前の空いている席に、誰かが腰掛けた。
「ここ、いい？」
ホン先輩だ。驚いたが、笑って頷くと彼も微笑む。
「ふは、今日もちゃんとリスだね」
サンドイッチを食べる私を完全に小動物のように見ながら、コーヒーを啜るホン先輩。
暫く、お互い目の前の飲み物と食べ物に集中した。
「…何か悩んでる？」
外の景色を見つめていた先輩がボソリと呟く。まさか、そんなこと聞かれるとは思わずに少し驚いた。
「そう見えますか？」
「うーん…シンさんはよく考える人なんだろうなって思うけど。考え過ぎて心配になる時があるよ」
確かに、今の私の頭の中は騒がしい。
社員旅行の経費や、企画書、行先。
午後からの仕事や、月末に向けて目標計画をどうしようとか。
今日配信されるドラマのエピソードのこと。
それから、ミンギュのこと。
「1つぐらい誰かに話してもいいんじゃない？」
そんなに思い詰めた顔をしてしまっていたのか。カフェラテの萎んだフォームミルクを見ながら頷いた。
「ホン先輩は、自分の心の中を見せるのが怖い時、どうしますか？」
私の言葉、一つ一つを丁寧に聞いてくれる先輩。考え込むように天井を見上げた後に、彼が自分の右手を握った状態で差し出してきた。
「例えばこれが、1ミリも心を開いていない状態だとするよ」
ぎゅっと力を込めて握りしめられている拳の力が少しだけ抜ける。親指と、人差し指だけが解かれた。
「誰かを傷付けないためには、これぐらいが丁度いいんだと思う。勿論、自分が傷つかない為にもね」
「はい」
中指、薬指、そして、小指が開いていく。ホン先輩の開かれた手のひらには、何も守るものが無い。
「誰にでも心を開けばいい訳じゃないけど、シンさんが自分の手のひらを見せられる人がいてもいいんじゃない？」
ホン先輩が自分の手のひらを見て、言ってくれる。
「そうしたら、きっとその人もシンさんの手を取って守ってくれるよ。」
自分の心を、守ってくれる人もいる。少し前の自分に言ってもきっと、この手は握ったままだった。
でも、今は違うかもしれない。
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
