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ミンギュはポケットに手を入れて、視線をそーっと逸らしてくる。今更なんの意味もないけれど。
「ミンギュ、何してるの？」
「Aのこと待ってたの」
態度の割には素直な回答に笑ってしまう。ミンギュはちょっと恥ずかしいのか、自分でもクスクスと笑っていた。
「お、キムミンギュ」
まるで芸能人かのように後ろから声をかけたスンチョルさん。
「え、俺のこと知ってるんですか？」
「おー、人事部にはお前の情報がジャンジャン入ってくるから。キムミンギュがああだのこうだの、部内じゃ有名人だよ」
ミンギュが複雑そうな表情になる。小さな声で『俺なんかしたっけ』と記憶を辿るように呟いていた。
「あと、さっき俺のことバチバチに睨んでだろ！」
「だから睨んでませんって〜！」
ミンギュのことを指さすスンチョルさんは断固として睨んだと主張し、ミンギュは全力でそれを否定している。
そして段々と私はミンギュに追いやられて、彼の背中の後ろに来てしまった。
大きすぎる彼の背中でスンチョルさんのことが見えない。
「ちょっとミンギュ、」
「じゃあ僕達は業務に戻ります！失礼します！」
ミンギュが私の手首を掴んで離さない。扉の隙間から見えたスンチョルさんは困ったように眉をクイッと上にあげていた。
そして、軽く手を振られる。
「頑張れよ〜営業部」
その間にも彼はずんずんと進んでしまって、私は足がもたつきそうになる。ミンギュってこんなに足早かったの？
しばらく歩いてミンギュが何度か後ろを振り返った後に、足を止めて私の手を離して肩を掴んでくる。
「何にも言われてない？大丈夫？」
何を言われるかと思ったら。
どうやら、彼も心配してくれていたらしい。
「大丈夫だよ。ありがとう」
笑顔で返すと、よかったぁ、と肩の力が抜けている。ちょっともたれかかって来て重たい。
「スンチョル先輩はいい人だよ」
そう言うとムッとした顔でこちらを見てくる。彼がさらにもたれかかって来て、支えきれず左足が後ろに一歩下がった。
「……そ」
不貞腐れたように、1文字だけ呟いたミンギュ。
あれ、安心してくれると思ったんだけどな。ミンギュがたまに分からなくなる。
「ほら、外回り行かないと」
もうとっくに始業時間は過ぎている。ミンギュのしている腕時計の時間が丁度見えてそう伝えると、彼がのっそりと上半身を起き上がらせた。
でもまだむっすりしてる……。
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
