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僅かに目を開けると、辺りはすっかり暗くなっていて驚いた。うっすらとした明かりの方に目を向けると、ウォヌさんがパソコンに向かっているのが見えた。
私が目を覚ましたのに気づいたのか、こちらを向く。
「…おはよ」
「すみません、寝ちゃって…」
私の寝起きの声に笑いながら、体調を気遣ってくれるウォヌさん。
彼がパソコンを閉じると、キャンドルライトがついていることに気づいた。
「部屋の電気つけてよかったのに」
と起き上がりながら言うと、ウォヌさんが「こっちのが集中できたから」とキャンドルライトを手に答えてくれる。
今、何時だろうとスマホの時計を見ると夜の18時。…結構寝ちゃったみたいだ。
「すみませんウォヌさん、こんな時間まで一緒にいて下さって、ありがとうございました」
部屋の電気をつけた後にそう伝えると、「いつものAちゃんに戻ってる」と残念そうに返される。
あれ?私さっきなんか変なこと言ったっけ。ダメだ、全然思い出せない。考えすぎると頭痛が戻りそうなので辞めておこう。
「腹は減ってる?」
そんなことを考えていると、ウォヌさんがそう聞いてくれる。
「はい…もうお腹ペコペコです」
そう返答した私のことをじっと見てくる。ほ、本当になんだろう。
「俺も」
「え?」
「俺も、腹減った」
ウォヌさんはそう言うと、立ち上がってキッチンへと向かってしまう。
「…減ったから、買ってきちゃった」
戻ってきた彼の手には、スーパーの袋。インスタントのお粥と、うどんと多分ウォヌさんが食べるインスタントラーメン。
「うどんとお粥どっちがいい?」
そう聞かれたらもう、彼に甘えるしかない。
「うどんがいい、です」
「んー」
ケトルに沸かしてあったお湯を注ぎながら答えてくれるウォヌさんが、卵も落としてくれた。そんな彼が口を開く。
「さっきスーパー行ったついでに俺の家寄ってきたから」
付け足された言葉の方が気になって、一瞬耳を疑った。
「パジャマとか色々と持ってきた。あと歯ブラシと、タオルも」
え、え?
「ウォヌさんそれって、」
「俺もAちゃんの隣にいたい。」
うどんのお湯を注ぎ終わって、今度はラーメンにお湯を注ぎながら言われた。
「…ずっとはまだ無理だから、せめて今日一日、隣にいるよ」
ラーメンのお湯も注ぎ終わって、電気ケトルを置いたウォヌさんがこちらを向いた。
「本当に、いいんですか?」
「はは、やっぱり今日は素直だな」
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夏目(プロフ) - ハナさん» ハナさん、最後までコメントありがとうございます!ハナさんのコメントが更新の支えになっておりました!私も2人のお話を楽しく書かせて頂いていたので、寂しい気持ちです……いつも素敵なコメント、励まされるコメントをありがとうございました! (2021年7月21日 13時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん!完結おめでとうございます!初めから終わりまで2人の間に流れる雰囲気と、流れる時間がとっても素敵で本当に大好きなお話でした!大好きすぎて完結が少し寂しく感じる程ですが、最後まで素敵なウォヌくんを書いてくださった夏目さんに本当に感謝しています^ ^ (2021年7月20日 13時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - naokiさん» naokiさん、長い間お付き合いいただきありがとうございました!今回の作品も愛情を持って読んでいただけてとても嬉しいです。素敵なコメントと応援ありがとうございます。更新の支えになります!これからも頑張ります!! (2021年7月18日 17時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
naoki(プロフ) - 完結おめでとうございます。ゆったりと流れる二人の穏やかなお話はとても素敵で、大好きな作品です。誕生日での完結も相まって、夏目さんの作品とウォヌさんへの敬意や愛が伝わります。更新お疲れさまでした。大好きです!これからも応援してます。 (2021年7月17日 22時) (レス) id: c546018bd1 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - kaiさん» kaiさん、コメントしてくださりありがとうございます。私もいつも完結はとても寂しい気持ちになります…2人の空気感を大切に書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!私もどこかでまた、2人のお話を書きたいと思っております!本当にありがとうございます。 (2021年7月17日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2021年3月4日 0時