61 ページ12
小さめの茶色いカバンにプレゼントが入っているかどうか確認して、家の鍵を手に取った。一応鏡で前髪をもう一度直して、時計を見る。
予想よりも進んでいる時間に目を見開く。
「…え、もう?」
余裕を持って準備していたのに、もう行かないと間に合わない時間になってしまっていた。慌ててスニーカーを履いて外に出る。
集合場所にしていた駅前のカフェに着くと、ガラス越しにウォヌさんと目が合った。
アイスアメリカーノを口にしていた彼の口角が上がって、軽く手を振ってくれる。それに手を振り返して、店の入口へと向かった。
ウォヌさんも席から立ち上がって、丁度カフェに入ったところで会うことが出来た。
「すみません、お待たせしました」
「いや、俺も今来たとこ」
そう言ったウォヌさんは、大きめの黒のTシャツを紺色のジーンズに緩くタックインしていて、襟にはサングラスが掛かっている。…いつもの私服より男性らしくて、かっこいい。
大きめのショルダーバッグにはカメラが入っているのかな。
「アイスティーいる?」
「え、いいんですか?」
そんな彼の両手には、アイスアメリカーノとアイスティー。左手にあるアイスティーを軽く持ち上げて、私に渡してくれた。
「良いって言うか、Aちゃん用に買った」
そう言って当たり前のように渡してくれたアイスティーは、氷が少し溶けていて冷たくて気持ちいい。
「ありがとうございます…」
「こちらこそ、今日来てくれてありがとう」
ウォヌさんは外に出ると夏の太陽に、眩しそうに目を細めた。サングラスをかけてこちらを向く。
どうやらウォヌさんは日差しが強いのが苦手みたいだ。何だか本当に猫みたいで可愛い。
「私、今日すっごく楽しみでした」
私の言葉を聞いて、彼がピタリと動きを止めた。
「俺も。…俺も、今日がこんなにいい日なのは初めてかもな」
珍しく照れくさそうに笑って、ポケットに手を入れたウォヌさん。少し近づいてきて、私の髪が崩れないように頭の上にポンと手を置く。
どうか、ドキドキしていることがバレませんように。
なんて考えながら彼の隣に並んだ。
1659人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏目(プロフ) - ハナさん» ハナさん、最後までコメントありがとうございます!ハナさんのコメントが更新の支えになっておりました!私も2人のお話を楽しく書かせて頂いていたので、寂しい気持ちです……いつも素敵なコメント、励まされるコメントをありがとうございました! (2021年7月21日 13時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん!完結おめでとうございます!初めから終わりまで2人の間に流れる雰囲気と、流れる時間がとっても素敵で本当に大好きなお話でした!大好きすぎて完結が少し寂しく感じる程ですが、最後まで素敵なウォヌくんを書いてくださった夏目さんに本当に感謝しています^ ^ (2021年7月20日 13時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - naokiさん» naokiさん、長い間お付き合いいただきありがとうございました!今回の作品も愛情を持って読んでいただけてとても嬉しいです。素敵なコメントと応援ありがとうございます。更新の支えになります!これからも頑張ります!! (2021年7月18日 17時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
naoki(プロフ) - 完結おめでとうございます。ゆったりと流れる二人の穏やかなお話はとても素敵で、大好きな作品です。誕生日での完結も相まって、夏目さんの作品とウォヌさんへの敬意や愛が伝わります。更新お疲れさまでした。大好きです!これからも応援してます。 (2021年7月17日 22時) (レス) id: c546018bd1 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - kaiさん» kaiさん、コメントしてくださりありがとうございます。私もいつも完結はとても寂しい気持ちになります…2人の空気感を大切に書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!私もどこかでまた、2人のお話を書きたいと思っております!本当にありがとうございます。 (2021年7月17日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏目 | 作成日時:2021年3月4日 0時