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何だか、完全にチョンさんから逃げる感じになっちゃったな…と思いながら大学の学生課へと向かう。
ゼミの志望書を1枚取って、クリアファイルへと入れる。それにしても、ゼミどうしようかな…と頭を悩ませていると、「キムさん?」という声が聞こえてきた。
声のするほうを向くと、ミンハオくんがこちらへやって来て志望書を何故か数枚手に取っている。
「あ、ミンハオくんも志望書取りに来たの?」
「うん。どうせあの2人はメール読んでなくて取りに来てないだろうから」
あの2人、と言われて直ぐに顔が思い浮かんだ。確かにミンギュくんもソクミンくんも帰っちゃってるな…と思い笑みがこぼれる。
「ミンハオくんはどのゼミにするの?」
何と、ミンハオくんはクリアファイルに仕舞わずにそのまま書き始めたので驚きだ。私はびっくりして彼に聞いてしまう。
「あー…今、お世話になってるワン先生のゼミ。面倒見ないといけない先輩もいるから、もう決めてた」
ワン先生って、うちの学科で唯一中国人の先生の人か…それにしても"面倒見ないといけない先輩"って何だか不思議な響きだな。
迷いなく提出ボックスに提出してしまった彼に、拍手を送りたくなる。
「キムさんはまだ迷ってる?」
「うん…来週気になってるゼミに見学に行こうかなって思ってる」
そっか、と返してくれたミンハオくん。
「ゆっくり考えれば良いんじゃない?」
「うん、そうする」
いつもの可愛らしい口角をキュッと上げた笑顔を見せて、行ってしまった。
ゼミか…………本当にどうしよう。
ただ専攻したい分野にするか、卒論をサポートしてくれる先生にするか。
色んな選択肢があるから難しい。
私はまだ、クリアファイルに志望書を入れたまま帰ることにした。
何気なく、インスタグラムを開くとミンギュくんがストーリーを更新している。
タップしてみると『完成』の2文字とともに綺麗なラテアート。
そして更にタップすると、チョンさんの綺麗な横顔とラテアートを口にしている写真が出てきてつい足を止めてしまった。
か、かっこいい。
「イケメンはラテアートを飲むだけでイケメンなんだな……」
私はラテアートすら苦くて飲めなかったんですが…
そうやって肩を落としながら、帰路についた。
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奈々ごん(プロフ) - 初めまして!久しぶりにきゅんきゅんする小説に出会いました。ありがとうございます!口角が上がってしまうくらい好きな小説です! (6月13日 13時) (レス) @page50 id: dda75e19fb (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - KYANAさん» 初めまして!楽しんでいただけて嬉しいです!応援ありがとうございます!励みにして頑張りますね! (2021年2月9日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
KYANA(プロフ) - はじめまして!最近見つけて読ませていただいているのですが、本当に最高です…!更新応援しています!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 6aecb490a8 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - ハナさん» 感想をいただけると本当にモチベーションが上がるのでそう言っていただけて光栄です(;_;)!!ありがとうございます…!私もハナさんのこと大好きです!!! (2021年1月29日 11時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん» 素敵すぎてついつい感想を伝えたくなってしまって…!私こそ夏目さんのお話に癒しをもらってます!大好きです!!!(ただの告白) (2021年1月28日 23時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2021年1月15日 17時