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ミンギュくんが必要のない咳払いをもう一度した。が、この何故か微妙な空気感は変わらない。
「あ、こんにちは…2年のイ・ソクミンと申します」
「どうも。3年のチョン・ウォヌです」
別にウォヌさんは何かに怒っている様子もなく、穏やかにそう答えた。でも私の後ろからは動いてくれない。
な、何かあったのかな、と思いながら後ろに体を向けると目が合った。ウォヌさんが少しだけ目を細める。
「前髪、ぐしゃぐしゃになってる」
優しい手付きで前髪を直してくれた。何だか今日は、ウォヌさんがいつもよりも甘い、ような。
「ありがとうございます…」
何か言いたげなウォヌさんの表情。彼の言葉を待っていると、ウォヌさんがゆっくりと口を開いた。
「ジュナの武術、俺も見に行くけどAちゃんも行く?」
「あ、はい。行きます」
唐突な質問に驚きながらもそう答えると、彼の口角が少しだけ上がった。後ろに立つ彼が私の肩をポン、と叩いてくる。
「…じゃ、2人で見に行こう」
視界の端にいるソクミンくんとユアがうわあ、と口元を手で押さえた。ミンギュくんは何故かちょっとやれやれと言った様子。
私は動揺しながら頷くと、満足そうに笑った彼。
「ん、ミンギュ達もいい?暫く一緒に見てても」
と3人にも聞いている。ユアが「どうぞどうぞ!」と立ち上がりながら返していた。ミンギュくんもソクミンくんも頷いている。
私は立ち上がって財布とスマホだけ持って通路に出る。
「行こう」
「は、はい」
また後で連絡するね、とユアに言ってウォヌさんの隣に並ぶ。心臓が今までになくうるさい音を立てているのを感じつつ、座席横の階段を上っていく。
まさか、私が行った後に3人が顔を見合わせていて。
「え、やば…ウォヌ先輩やっぱりめちゃくちゃ顔綺麗だね。何度見てもドキドキするわ」
なんてユアが言って、ソクミンくんが笑いながら返して。
「いやそこ?さっきの友情はどうちゃらって話はどこ行ったの」
「いやいやいや!応援はしてるからさ!やばかったね、私めちゃくちゃキュンキュンしちゃった…」
こんなことを言っているなんて、私は知るはずもなく。
「ミンギュ?何その顔」
「……いや、ウォヌヒョンとは結構仲良いけどあんなヤキモチ妬きだなんて知らなかったな…って思っただけ」
「え」
ミンギュくんの呆れた顔の真意も、想像すらしていなかった。
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奈々ごん(プロフ) - 初めまして!久しぶりにきゅんきゅんする小説に出会いました。ありがとうございます!口角が上がってしまうくらい好きな小説です! (6月13日 13時) (レス) @page50 id: dda75e19fb (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - KYANAさん» 初めまして!楽しんでいただけて嬉しいです!応援ありがとうございます!励みにして頑張りますね! (2021年2月9日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
KYANA(プロフ) - はじめまして!最近見つけて読ませていただいているのですが、本当に最高です…!更新応援しています!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 6aecb490a8 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - ハナさん» 感想をいただけると本当にモチベーションが上がるのでそう言っていただけて光栄です(;_;)!!ありがとうございます…!私もハナさんのこと大好きです!!! (2021年1月29日 11時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん» 素敵すぎてついつい感想を伝えたくなってしまって…!私こそ夏目さんのお話に癒しをもらってます!大好きです!!!(ただの告白) (2021年1月28日 23時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2021年1月15日 17時