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1日の授業終わり。大学の図書館に入りながら、またチョンさんのことを考えていた。

同じ学部だったのに、1年間1度もすれ違わなかったのか……うちの大学、人が多いから仕方ない所はあるけれど。

「世間って、狭いな……」

もう一度呟いてしまう。返却の為にカウンターの列に並んでいると、後ろから声が聞こえてきた。

間違いない、この声。

「俺、図書館1ヶ月ぶりに来ました〜」

ミンギュくんだ。

相変わらず大きい声だなぁ…なんて思いながら振り返る。


え。


振り返った先には案の定、ミンギュくんがいて。

その隣には、私服姿のチョンさんだ。

早速そんなことある!?と思いながら1人で目線を泳がせてしまう。

「ウォヌヒョン何借りるんですか?」

「借りるんじゃなくて返すってさっき言わなかったっけ」

あの、心地よい低い声。間違いない、私の知ってるチョンさんの声。

何故か見つかるのが気まずくて、2人の目線からズレるように身をかがめる。

…が、背の高い彼には意味がなかったようだ。

「あれ、Aちゃん?」

知らない人のふりをしても、遠慮なく私の名前を呼んでくる。うわぁ、もうこれは知らないフリできない。






「…はい」

そっと振り返ると、チョンさんの目が少し見開かれた。何となく気まずくて、軽く会釈をした。

笑顔でやってきたミンギュくんは「ほら、ウォヌヒョンも同じ大学でしょ!」と何故か自慢げに言ってくる。

「そ、そうだね」

「ウォヌヒョン、この子は俺の学科の友達のA!」

ここまで来たら、もうどうしようもない。チョンさんの元へと行くことにした。

チョンさんも少し目線が泳いでる。どうやら、プライベートでも彼は物静かな方のようだ。

「…うん。知ってる」

「え?」

彼が確かに、そう答えた。『知ってる』って、何を?

「うちのバイト先の常連さんだから、初めましてじゃないよ」

落ち着き払った様子でチョンさんが答える。ミンギュくんはびっくり顔で私とチョンさんの顔を何度も見返していた。

「……名前は初めて知ったけど」

「何だぁ、顔見知りかと思いましたよ」

「うん。うちの大学だってことは知ってた」

チョンさん、知ってたんだ………

困惑しながらチョンさんの方を見ると、目が合ってしまった。

少し細められた瞳は、ほんの僅かに嬉しさを含んでいるようにも見えて。

なぜだか私の心臓は、トクトクと音を立て始めた。

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奈々ごん(プロフ) - 初めまして!久しぶりにきゅんきゅんする小説に出会いました。ありがとうございます!口角が上がってしまうくらい好きな小説です! (6月13日 13時) (レス) @page50 id: dda75e19fb (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - KYANAさん» 初めまして!楽しんでいただけて嬉しいです!応援ありがとうございます!励みにして頑張りますね! (2021年2月9日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
KYANA(プロフ) - はじめまして!最近見つけて読ませていただいているのですが、本当に最高です…!更新応援しています!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 6aecb490a8 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - ハナさん» 感想をいただけると本当にモチベーションが上がるのでそう言っていただけて光栄です(;_;)!!ありがとうございます…!私もハナさんのこと大好きです!!! (2021年1月29日 11時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん» 素敵すぎてついつい感想を伝えたくなってしまって…!私こそ夏目さんのお話に癒しをもらってます!大好きです!!!(ただの告白) (2021年1月28日 23時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏目 | 作成日時:2021年1月15日 17時

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